
この記事の要点
- ビットコイン政策研究所が中東の仮想通貨レポート公表
- 取引高3倍超の53兆円規模、湾岸と周辺国で需要二極化
中東の仮想通貨取引高が3倍超、53兆円規模に
米非営利シンクタンクのビットコイン政策研究所(BPI)は2026年9月4日、中東・北アフリカ(MENA)地域におけるデジタル資産の利用動向をまとめたレポートを公表しました。
同レポートによると、MENA地域のオンチェーン年間取引高は、2022年の約1,000億ドル(約15兆3,600億円)から2025〜2026年には推定約3,500億ドル(約53兆7,600億円)へと3倍以上に拡大しています。
こうした市場拡大には、マクロ経済の圧力と政府主導のデジタル化が重なっており、MENAは世界でも有数の急成長市場になったと同レポートは指摘しています。
ただし成長の形は地域によって異なり、規制整備を進める湾岸諸国では機関投資家を中心とした市場形成が進む一方、通貨不安を抱える周辺国ではビットコイン(BTC)などを資産保全に使う需要が高まっていると分析しています。
「BTCの構造的需要は健在」
紛争・通貨安が加速させるMENA仮想通貨需要
イスラエル・イラン紛争後にBTC選好が強まる
同レポートは、MENAで仮想通貨の役割が変化した事例として、2025年6月のイスラエル・イラン紛争後の市場動向を取り上げています。
最初のイスラエルによるイラン空爆後には仮想通貨(暗号資産)市場全体の時価総額が数時間で約3.7%減少し、ビットコインも約2.3%安の約10万5,200ドル(約1,620万円)、イーサリアム(ETH)は7.5%安となりました。
その後はアルトコインからビットコインへ資金が移り、BTCドミナンス(市場占有率)が約1カ月ぶりの高水準となる64.8%まで上昇する一方、価格は10万4,000〜10万6,000ドル(約1,600万〜1,630万円)の範囲を維持したとしています。
トルコ・UAE・サウジがMENA仮想通貨を牽引
MENA市場の規模は平時にも拡大しており、米分析企業Chainalysis(チェイナリシス)の集計では、2023年7月から2024年6月の取引高が3,387億ドル(約52兆円)と計測されています。
国別ではトルコが年間約2,000億ドル(約30.7兆円)で最大となり、アラブ首長国連邦(UAE)も2025年に約1,500億ドル(約23兆円)を処理したと同レポートは説明しています。
UAEではビットコインが取引の38%、イーサリアムが22%、米ドル連動型ステーブルコイン(USDT・USDC)が30%を占め、機関投資家の参加も活発になっています。
成長率ではサウジアラビアが前年比154%増とMENA最速を記録し、カタールも同120%増で続いたとチェイナリシスは報告しています。
通貨安の周辺国でBTCが資産保全手段に
機関投資家中心の市場とは対照的に、通貨安やインフレに直面する国々では、個人が資産を守る手段として仮想通貨を利用する動きが強まっています。
エジプトではエジプトポンドの相次ぐ切り下げを受けてP2P(個人間)ビットコイン取引高が300%以上増加し、トルコでもリラ安を背景に米ドル連動型ステーブルコインへの需要が高まったと同レポートは指摘しています。
こうした地域では、仮想通貨が資産保全や価値移転の手段として使われ、従来の金融システムの外側で利用が広がっていると同レポートは分析しています。
規制枠組み整備が進む湾岸の仮想通貨市場
一方の湾岸諸国では、規制枠組みを整えることで機関投資家や海外企業を呼び込み、デジタル資産市場を経済多角化の一部に組み込む動きが進んでいます。
同レポートによると、UAEではドバイ仮想資産規制庁(VARA)がトークン化などに関する規則を更新し、連邦レベルでも資本市場庁(CMA)によるVASP(仮想資産サービスプロバイダー)向けのライセンス制度が導入されています。
バーレーンもステーブルコインの発行・募集(SIO)に関する枠組みを設ける一方、サウジアラビアでは35歳未満が人口の60%以上を占め、約97%のスマートフォン普及率が市場拡大の基盤になっているとしています。
仮想通貨ユーザー「2030年に30億人」
ドバイにリップル新拠点、湾岸の金融基盤化進む
湾岸諸国で規制整備が進むなか、リップル社は2026年4月30日、ドバイ国際金融センター(DIFC)に中東・アフリカ地域の新本部を開設したと発表しました。
同社はカストディやステーブルコイン、決済を軸に、規制環境が整う湾岸地域を中東・アフリカ事業の拠点に位置づけています。
こうした企業進出について、今回のBPIレポートを執筆したザイド・M・ベルバギ氏は、湾岸の規制市場がグローバル資本の受け皿として存在感を高めていくとの見方を示しています。
一方、通貨不安を抱える周辺国では仮想通貨が資産保全や価値移転の手段として使われ続け、湾岸では機関投資家を呼び込む規制市場の拡大が続くと同レポートは見込んでいます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.34 円)
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Source:Bitcoin Policy Instituteレポート
サムネイル:AIによる生成画像

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