世界初・牛が自分で背中をかく姿が確認される。かゆい部位でデッキブラシを器用に使いわけ

3 ヶ月前 16

デッキブラシを使って自分の体をかく牛が、動物行動学の専門家を驚かせている。

ブラシなどを使って背中などをかくのは、オーストリア山間部の村でペットとして飼われている13歳のブラウンスイス牛、ヴェロニカだ。

飼い主は、約10年前からヴェロニカが棒を使って体をかくのに気づいていたという。

飼い主の友人から動画を送られたウィーン獣医科大学の研究者が、現地に足を運んで実験を実施。

その結果、ヴェロニカは棒だけではなく、実験に使われたデッキブラシでも器用に体をかいた。

さらに研究者を驚かせたのは、ヴェロニカが道具を使うだけではなく、使い分けたことだ。

ヴェロニカは、皮が硬くて強くかく必要のある背中などの部位には、デッキブラシの毛のある部分を好んで使用した一方で、お腹の下など柔らかく敏感な部分は持ち手を使っていた。

かき方にも違いがあったという。体の上部をかく時には人間が床をブラシで擦る時のような大きな動きでブラシを扱ったが、お腹を持ち手でかく場合には、慎重で狙いを定めた動きを見せたという。

実験を行ったアントニオ・オスナ=マスカロ氏は「ヴェロニカは単に一番近い端を選んだのではなく、かきたい部位に応じて、道具の端と使い方そのものを適応させていました。それを見て、私はヴェロニカがブラシを多目的な道具として使っていることに気づいたのです」とウィーン獣医科大学のプレスリリースで述べている。

人間以外で道具を使う行動は、これまでにチンパンジーなど非常に限られた動物のみでしか確認されておらず、牛は初めてだという。

研究者は学術誌Current Biology(カレントバイオロジー)で、ヴェロニカの一連の行動は牛に高度な身体的認知能力がある可能性を示唆していると主張している。

一方で、研究者はヴェロニカがペットとして開けた草地という豊かな生活環境で飼われ、日常的に人と関わりながら13歳という年齢まで長く生きたことも影響していると考えている。

実験に携わったウィーン獣医科大学のアリス・アウアーシュペルク准教授は「この研究で、牛が私たちの想像以上に賢いと言いたいわけではありません」と述べている。

「動物の知能に対する私たちの考え方が、動物をどう扱い、何を観察しようとしてきたかによって形作られてきたかということを示しています」

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