リクガメのオスはメスを「崖から突き落とす」ことがあると判明――『楽園』が地獄に変わるとき

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天敵ゼロの島で、何が狂い始めたのか

天敵ゼロの島で、何が狂い始めたのか天敵ゼロの島で、何が狂い始めたのか / Credit: Xavier Bonnet / The Conversation (CC-BY-ND)

「保護さえすれば、動物は安全に暮らせるはずだ」

多くの人がそう考えるのではないでしょうか?

天敵を排除し、開発を止め、環境を守ればいい。

保全の原則は、少なくとも直感的にはシンプルです。

ゴレム・グラード島は、まさにその理想を体現したような場所でした。

プレスパ湖に浮かぶ面積わずか18ヘクタール――東京ドーム4個分ほどの小さな島は、テーブルのような構造をしています。

頂上には森が広がる平らな高原があり、その周囲を高さ20〜30メートルの切り立った崖がぐるりと囲んでいます。

ここではイノシシも犬もネズミも人間もおらず、リクガメの成体を襲う捕食者はゼロ。

温暖な地中海性気候は爬虫類にとって申し分ありません。

朝日を浴びた後、リクガメたちは牧草地で草を食み、休息し、オスは交尾のときに甲高い鳴き声を上げます。

その結果、この島のリクガメは1ヘクタールあたり約46〜64匹という、ヘルマンリクガメでは記録上最高クラスの密度に達していました。

2008年に北マケドニア、セルビア、フランスの国際研究チームが現地調査を始めたとき、島のリクガメもまた「繁栄する個体群」そのものに見えていたのです。

ここまでの話を聞く限り、この島のリクガメに問題があるようには思えません。

しかし、10年以上にわたってデータを積み重ねるうち、研究者たちはまったく異なる現実に気づき始めました。

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