モルディブでの洞窟ダイビング中に死亡、5人はなぜ浮上しなかったのか?

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2026.05.21 Thu posted at 19:47 JST

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亡くなったミュリエル・オデニーノさんとフェデリコ・グアルティエリさん、モニカ・モンテファルコーネさん、ジャンルカ・ベネデッティさん、ジョルジア・ソマカルさん/Facebook/University of Genoa/Albatros Top Boat/Instagram

亡くなったミュリエル・オデニーノさんとフェデリコ・グアルティエリさん、モニカ・モンテファルコーネさん、ジャンルカ・ベネデッティさん、ジョルジア・ソマカルさん/Facebook/University of Genoa/Albatros Top Boat/Instagram

(CNN) モルディブの透き通ったターコイズブルーの海や白い砂浜、わらぶきの水上バンガローのはるか下には、深く狭い洞窟網が広がっている。光は差しこまず、浅瀬に生息する色鮮やかな海洋生物も存在しない。

ロシアのテクニカルダイビングの専門家、ウラジミール・トチロフ氏が2014年にイタリア人ダイバーの死亡現場となった洞窟を探検したときの様子(Vladimir Tochilov)

海が荒れ、風も強まり始めていた14日午前遅く、経験豊富なイタリア人ダイバー5人のチームが、バーブ環礁沖の真っ暗な洞窟をめざして潜水した。この環礁はモルディブの首都マレからスピードボートで南へ約1時間の位置にある。

グループに参加していたのはインストラクターのジャンルカ・ベネデッティさん、ジェノバ大学准教授(生態学)のモニカ・モンテファルコーネさん、その娘のジョルジア・ソマカルさん、海洋生物学者のフェデリコ・グアルティエリさん、研究者のミュリエル・オデニーノさんだ。

5人のダイバーは、水深約47メートルの入り口から最深部で深さ70メートルほどに達する洞窟網の奥深くへと進んだ。

5人が戻ることはなかった。

ダイバー5人の遺体は数日続いた捜索の末、ようやく発見された。緊迫した危険な捜索活動の結果、現地の軍のダイバー、モハメド・マフディー軍曹も命を落とした。

地元当局によると、一行はモルディブのレクリエーションダイビングの制限深度である30メートルより深く潜る許可を得ていたという。

ただ、5人が予定よりさらに深く潜ったのか、そうしたリスクの高い探検に適した装備を携えていたのかは不明だ。

懸命の捜索

ダイバーたちが滞在していたのは、「デューク・オブ・ヨーク」と名付けられた全長36メートルの豪華船だ。このヨットは最大25人の滞在客を対象にオーダーメイドのクルーズを提供している。

海を愛する者にとって夢のようなこの船に乗ることで、ダイバーたちは海鮮ディナーに舌鼓を打ったり、最上階のデッキのサンベッドに寝そべったりしながら、モルディブのサンゴの島を間近で探索できる。

モルディブ政府の首席報道官はCNNの取材に、14日の午後1時30分ごろ、船上の誰かから遭難信号を発信されたと明らかにした。

ダイバーたちはこの時点で2時間ほど潜水していたが、浮上してこなかった。

報道官によると、最初に反応したのは別のダイビング専用船だった。30分も経たないうちに、この船のダイバーが洞窟の入り口付近でベネデッティさんの遺体を発見した。

モルディブ沿岸警備隊は残り4人のダイバーを探して水上や水中で捜索を開始したものの、ベネデッティさんの遺体発見を受け、当局は残り4人が洞窟内にいるとの前提で作業を始めた。

モニカ・モンテファルコーネさんは長年モルディブで海洋調査に携わっていた環境保護活動家だった。

夫でジョルジアさんの父でもあるカルロ・ソマカルさんは、妻について「世界屈指のダイバーだった」と振り返る。

ソマカルさんはイタリア紙ラレプブリカの取材に「5000回は潜水経験があったはずだ」と語った。

行方不明になった4人を捜索する沿岸警備隊などの船=5月15日/Maldives President’s Media Division/AP
行方不明になった4人を捜索する沿岸警備隊などの船=5月15日/Maldives President’s Media Division/AP

報道官によると、モルディブ海洋研究センターは今回のダイビングに先立ち、バーブ環礁付近でソフトコーラル(軟体サンゴ)を調査するというモンテファルコーネさん、グアルティエリさん、オデニーノさんの研究計画を承認していた。ソマカルさんとベネデッティさんの名前は申請書に記載されていなかった。

イタリア人研究者の一行はテクニカルダイビングを行う許可も得ており、水深30メートルより深く潜ることも可能だったと、報道官は説明する。

ただ、モルディブ当局はダイバーたちが洞窟潜水(ケーブダイビング)を行うつもりだということは知らなかった。もし知っていれば、沿岸警備隊などの専門家を派遣して複雑なダイビングを支援していただろう、というのが報道官の説明だ。

「洞窟内のこれほど深い場所で行われる過酷な仕事だと事前に伝えてくれれば、我々はもっと明確な指針とアドバイスを与えることができたはずだ」

ジェノバ大学によると、モンテファルコーネさんとオッデニーノさんは気候変動の生物多様性への影響について調べる目的でモルディブに滞在していたが、ダイビング自体は研究プロジェクトの一部ではなく、「個人ベースで行われた」という。

ダイビングの危険性をさらに高めたのが悪天候だ。モルディブ気象当局は14日午前、強風と荒れた海への警戒を呼び掛ける「ホワイトアラート」を発出。ダイバーたちがこのアラートについて認識していたかどうかは分からない。

立ち入り困難な水中生態系

この希少な水中生態系の探検に挑んだ経験を持つダイバーはごくわずか。ロシアのテクニカルダイビング専門家、ウラジミール・トチロフ氏はその一人だ。

トチロフ氏はCNNの取材に「この洞窟に入ることができるのは、適切な準備と経験を備え、適正な計画をして潜水を試みる専門のケーブダイバーのみだ」と語った。

2014年に現地で潜水したトチロフ氏によると、イタリア人ダイバーの一行が発見された洞窟は全長約200メートルで、いくつかの開けた空間で構成されている。

トチロフ氏のダイビング会社「ネバ・ダイバーズ」がユーチューブに投稿した動画には、真っ暗で何もない、異世界のような生態系が映し出されている。

ダイバーたちは懐中電灯で進路を照らしつつ、所々で狭い通路を泳いで進む必要がある。閉所恐怖症になりそうな不気味な光景だ。

トチロフ氏によると、ケーブダイビングには集中的な技術面の訓練だけでなく、恐怖感や方向感覚の喪失に対処する心理面の備えも求められる。

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