マルハナバチの女王が「水中でも生存できる秘密」を解明

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冬を越せるのは「新女王」だけ

マルハナバチの社会では、冬を越して生き残るのは新たに即位した女王だけです。

秋になると新しい女王は土の中に潜り込み、春まで休眠状態に入ります。

この状態は「ディアポーズ(休眠)」と呼ばれ、発育や代謝が大きく低下します。

しかし地下の巣は、新女王にとって必ずしも安全ではありません。

大雨や雪解け、地下水の上昇によって巣穴が水没する可能性があるからです。

休眠中のハチは活動が非常に鈍く、突然の洪水から逃げ出すことはほぼ不可能です。もし水に沈めば、多くの昆虫は短時間で溺れてしまいます。

ところが北米に生息するマルハナバチの一種「ボンブス・インパティエンスBombus impatiens)」の女王は、最大1週間以上水中に沈んでも約90%が生存することが報告されていました。

しかし、なぜそれが可能なのかは長く謎でした。

そこで研究チームは、その秘密を調べるため実験を行いました。

女王は水中でも「呼吸」していた

チームは健康なコロニーから女王を採取し、低温で暗い環境に置いて人工的に休眠状態を作りました。

その後、女王を密閉された測定チャンバーに入れ、水を満たして完全に水中に沈める実験を実施。水没時間は数時間から最長8日間です。

チームはその間、ハチの体から出入りする気体を測定しました。特に注目したのは、呼吸の指標となる「二酸化炭素(CO₂)」です。

すると驚くべきことが分かりました。

水中に沈められている間も、女王は少量ながら二酸化炭素を放出し続けていたのです。

さらに水中の溶存酸素量はわずかに減少していました。これはハチが水から酸素を取り込んでいることを意味します。

つまり女王は、完全に水没していても水中で呼吸を続けていたのです。

ただし呼吸量は通常より大幅に少なく、体の代謝も大きく低下していました。

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