(CNN) 洞窟で見つかった歯の化石から、5万9000年前の先史時代の人類が虫歯治療を行っていた可能性が浮かび上がってきた。
研究者らは、現在のロシア・シベリア南西部アルタイ山脈にあるチャギルスカヤ洞窟で、成人ネアンデルタール人の下あごの臼歯(きゅうし)を発見した。この洞窟には約4万9000~7万年前、ネアンデルタール人集団が居住していたとされる。
「チャギルスカヤ64」と名付けられたこの歯は、洞窟内で見つかった数十本の歯の中でも際立っていた。歯冠部に深く不規則な穴があり、神経や血管を含む歯髄腔(しずいくう)にまで達していたためだ。
さらに研究者らの関心を引いたのは、穴の周囲に残された歯の傷だ。何らかの道具が使われたことを示唆していたためだ。洞窟で発見された先端の細い石器も、傷の原因を探る手掛かりとなった。
ネアンデルタール人の歯に対する複数のスキャン解析と、現代人の歯を使った実験の結果、誰かが実質的に虫歯部分を削り取っていた可能性があることが示された。米科学誌「プロスワン」に14日掲載された研究によると、これは人類進化史上で確認された最古の虫歯治療の事例を示しているという。
こうした行動は、ネアンデルタール人が感染を認識し、痛みを和らげるための適切な道具や技術を作り出して使い分け、処置の苦痛にも耐えたことを示している。歯の摩耗痕からは、このネアンデルタール人が処置後もその歯を使い続けていたことが分かった。
今回の発見は、絶滅した最も近縁の人類であるネアンデルタール人が、従来考えられていた以上に認知面や心理面で現代人に近かったことを示す証拠をさらに積み重ねるものとなった。かつての固定観念で描かれていたような、単純で粗暴な洞窟人ではなかった可能性が高まっている。
医療介入の証拠
チンパンジーなどの霊長類は、薬効を持つ植物を用いて自分や仲間を治療する能力を示している。専門家らによれば、こうした行動は本能的なものだという。
ロシア科学アカデミー・シベリア支部考古学民族学研究所デジタル考古学研究室長で、研究共著者のクセニア・コロボワ氏によると、ネアンデルタール人も同様に、負傷や難聴を抱えた仲間に食料を分け与えたり、保護したりしていたとみられる。
ただ、研究者らは長年、ネアンデルタール人のような初期人類が、そこからさらに一歩進み、意図的な医療戦略を実施できたのかを見極めようとしてきた。研究者らは、この歯への加工痕が、その証拠ではないかと考えた。
ネアンデルタール人の歯に傷がある例は以前から確認されており、食べ物を取り除くために、つまようじのようなものを使ったり、薬草をかんだりしていた可能性が示されていた。
しかし、多数の歯の研究によると、ネアンデルタール人にとって虫歯は珍しい問題だった。
過去の研究では、ネアンデルタール人は現生人類より豊かな口腔内細菌環境を持ち、低炭水化物の食生活を送っていたため、虫歯原因菌が少なかったことが示されている。
研究者らは、摩耗痕を含むあらゆる側面を分析するため、複数のスキャン技術を用いた。その結果、このネアンデルタール人は生前に確かに虫歯を患っていたことが判明した。ただし、虫歯の原因は特定されていない。
スキャンではさらに、小型で先端のとがった道具による削孔や回転動作の微細な痕跡も確認された。虫歯部分を除去した痕跡とみられている。虫歯内部を除去したことで、その部分の神経や血管が機能を失い、痛みが和らいだ可能性がある。
洞窟で見つかった碧玉(へきぎょく)製の細い穿孔(せんこう)器が道具の特徴と一致するように思われたものの、確認する方法は一つしかなかった。先史時代の歯科治療を再現する実験だ。
ネアンデルタール人の技術を再現
研究者らは実験のため、現代人の大臼歯3本を用いた。1本は歯冠エナメル質に虫歯があり、残る2本はネアンデルタール人の歯のように大きくエナメル質が失われていた。

2 時間前
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