(CNN) 民間の無人月面着陸船2機の打ち上げに使われた米スペースXのロケット「ファルコン9」の一部が5日未明、月に衝突する見通しだ。
ファルコン9は昨年1月15日、米テキサス州に拠点を置くファイアフライ・エアロスペースの月面着陸船「ブルーゴースト」と、東京に拠点を置くispace(アイスペース)の着陸船「レジリエンス」を搭載して打ち上げられた。ブルーゴーストは同年3月、月面への軟着陸に成功したが、レジリエンスはその数カ月後、着陸に失敗した。

昨年打ち上げられたファルコン9がアーチを描く様子/Gregg Newton/AFP/Getty Image
ファルコン9の打ち上げに使われたブースターは地球に帰還した一方、上段は、宇宙空間で着陸船を月への軌道に乗せる役割を担った。
地球低軌道に向かうミッションでは通常、上段を地球の大気圏で燃え尽きさせて処分するが、スペースXのジュリアナ・シャイマン氏は3日の記者会見で「高エネルギーのミッションでは、適切な規則や規制に従って上段自体の安全を確保するため、別の動作を行う必要がある」と述べた。このミッションでもそうした対応を取ったが、太陽活動と重力の組み合わせによって、ロケットは実質的に月へ向かう軌道に入ったという。
米航空宇宙局(NASA)によると、天文学者らは公開データからファルコン9の上段が月と衝突する軌道にあることを突き止めた。NASAは「地球への危険はない」としている。
衝突は米東部時間5日午前2時35分ごろに起きると予想されている。
科学者らは、人工物が月に衝突するという今回のまれな出来事を生かして月の理解を深め、月へ送られる宇宙飛行士やインフラを守る方法の検討につなげたい考えだ。
NASAの研究者を含む科学者グループが執筆した査読前論文によると、推定重量4000キロ前後のロケット上段は、月のアインシュタイン・クレーター付近に衝突する見通し。

衝突は米東部時間5日午前2時35分ごろに起きると予想されている/NASA/YouTube
ただし、衝突は肉眼では見えず、望遠鏡でも捉えるのは難しい可能性がある。
ロケットが秒速約2.43キロで月に衝突する瞬間に生じる閃光(せんこう)は、長くても1秒ほどしか続かない。
研究によると、ファルコン9の上段のような人工物の衝突は、これまで数えるほどしか起きていない。
カナダ・ウェスタン大学のポール・ウィーガート教授(天文学・物理学)によれば、月に衝突する物体の追跡や発見は難しいため、今回のように前もって把握できている事象は、科学者が月面の性質について知見を得るのに役立つ。ウィーガート氏は先の研究に関与していない。
現在の推定では、ロケットの上段は、衝突地点から805キロ離れた場所まで岩石を飛ばし、その後、月面へ落下させる可能性があるという。このような現象が宇宙飛行士や居住施設、機器、宇宙船などが落下範囲内に存在しているときに起きれば、重大な脅威になる。
「物体は非常に高速で飛来する小さな岩石で、いわば弾丸に近い。だからこそ危険因子として排除できるよう、こうした過程を理解したい」(ウィーガート氏)
研究者らは、このような衝突の確率を下げる方法を模索している。

2 週間前
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