スキャパレリ、ファッションの常識を覆した異色デザイナーの軌跡を探る 英展示会

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(CNN) ファッションは長らく芸術と歩みを共にし、デザイナーたちは歴史上の偉大な芸術家の作品から着想を得てきた。高度な技術力と前衛的な野心を併せ持つことから、ファッションは絵画や彫刻と同じ地平にある芸術だと主張する声も多い。

ロンドンのビクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で開催中の大規模な展覧会は、この二つの分野の関係性を、より切実な形で示している。「スキャパレリ:ファッションは芸術となる」展(3月28日開幕)は、イタリア人デザイナー、エルザ・スキャパレリの革新的な作品を、芸術の文化的重みを体現するものとして紹介する。大胆、あるいは挑戦的ともいえるドレスを身にまとう行為は、既存の価値観や美の基準、さらには衣服の目的そのものに対する見方を変えうるのか。

その可能性はある。実際、スキャパレリ自身が20世紀初頭の数十年間にそれを示してみせた。それからおよそ100年が経過した今、その後継者であるスキャパレリのクリエーティブ・ディレクター、ダニエル・ローズベリー氏がその流れを受け継ぎ、刺激的なデザインとセレブを軸とした「発信装置」を組み合わせることにより、女性の美や力に対する私たちの認識を変えようとしている。本展では2人の作品を並置し、保守化が進む現代において「衝撃的なスタイル」が持つ価値を示している。

 ロンドンのビクトリア・アンド・アルバート博物館で開催中の「スキャパレリ:ファッションは芸術となる」展の見どころを一部紹介(CNN)

「エルザ・スキャパレリは、マン・レイ、ジャン・コクトー、サルバドール・ダリといった芸術家たちに囲まれていた」とV&Aのファッション担当上級キュレーター、ソネット・スタンフィル氏は語る。

「彼女は単にシュールレアリズムのイメージを取り入れ、自身の服にあしらっていたわけではない。創作のプロセスに深く関わり、これらの芸術家やクリエーターたちと真の意味での創造的な協働関係を築いていたのだ」(同氏)

ローマの知的で貴族的な家系に生まれながら、正式なファッション教育を受けていなかったスキャパレリの服は、挑発的で、彼女自身が好んだ言葉を借りれば「衝撃的」だった。ココ・シャネルやクリスチャン・ディオールといった同時代のデザイナーたちが、極めてシンプルな、あるいはあふれんばかりに美しい服を生み出していたのに対し、スキャパレリは意外性に富み、ときに悪趣味で、嫌悪感すら抱かせるようなものも取り入れた(1938年のサルの毛皮のブーツはその一例)。彼女は、スタンドアップ・コメディアンや豪奢(ごうしゃ)な表現を得意とする哲学者のように服を創作した。例えば、靴が帽子だったらどうなるか、サーカスをテーマにしたジャケットに馬の形のボタンを付けたらどうなるか、といった具合だ。

アリアナ・グランデが2025年のアカデミー賞授賞式で着用したドレス。現在ビクトリア・アンド・アルバート博物館に貸し出されていて、展示品に名を連ねている/Ben Montgomery/Getty Images
アリアナ・グランデが2025年のアカデミー賞授賞式で着用したドレス。現在ビクトリア・アンド・アルバート博物館に貸し出されていて、展示品に名を連ねている/Ben Montgomery/Getty Images

創設者であるスキャパレリの作品に加え、現デザイナーのダニエル・ローズベリー氏のデザインも展示されている/Jamie Stoker/Victoria and Albert Museum
創設者であるスキャパレリの作品に加え、現デザイナーのダニエル・ローズベリー氏のデザインも展示されている/Jamie Stoker/Victoria and Albert Museum

その結果、スキャパレリの服は、第2次世界大戦前の欧州における文化的混乱と、美的に伝統主義的だったパリにおいて、時代との強い結びつきを持つようになった。こうした手法はローズベリー氏にも受け継がれている。展覧会の最終展示室では、ロボットの赤ん坊を抱くオートクチュールをまとったモデルや、ボディー部分に不気味なほど密にビーズを施した、危機を思わせるような赤いガウンなど、彼の既成概念を打ち破るデザインが紹介されている。大半の衣服が単に人を喜ばせることを目的としているのに対し、予想外のアンサンブルという発想がいかに人々を刺激し、驚かせ、ファッションやポップカルチャーを前進させるのかを示している。

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