
この記事の要点
- イーサリアム研究者5名が合意形成の再設計案を提出
- 確定時間を約16分→10秒へ、L2・ブリッジ迅速化
まずはイーサリアム(ETH)を詳しく
ETHファイナリティ10秒へ、EIP草案公開
イーサリアム(ETH)の研究者5名は2026年10月21日、取引の確定時間を大幅に短縮するため、コンセンサス(合意形成)の仕組みを再設計する「分離型コンセンサス」のEIP草案をGitHubで公開しました。
現在のイーサリアムでは取引の確定に平均約16分を要しており、草案ではブロック選択とファイナリティ(取引の確定)に使われる投票を分離することで、この時間を短縮する方針が示されています。
開発陣は段階的な改良によって最終的に約10秒まで短縮することを目指しており、実現すればクロスチェーンブリッジやL2(レイヤー2)での資金移動が迅速化し、資本効率の改善や利用コストの低減につながる見通しです。
ただし、提案はまだ初期段階にあり、審査過程では「EIP-8453」という番号が候補として示されているものの、正式な仕様や実装時期の確定には今後の議論と検証が必要となります。
「ヘゴタが最後の通常フォーク」
合意形成を分離、高速化と安全性を両立
60万票の集約が高速化を阻む構造的課題
イーサリアム財団は2026年5月11日に公開した技術報告で、現行のコンセンサス構造がファイナリティの高速化を制約しているとして、投票処理を分離する必要性を指摘しました。
現行設計では、バリデーターが発行する「アテステーション」に、ブロック選択を担う「LMD GHOST」と、取引の確定を担う「Casper FFG」の投票が組み込まれており、処理速度の異なる2つの機能が同じ投票に依存しています。
そのうちファイナリティでは、ステーク量の3分の2以上に相当する60万票超の集約に加え、チェックポイントの承認と確定に2ラウンドの投票が必要となります。
1ラウンドに相当するエポックは32スロット、1スロットは12秒で構成されており、現行のCasper FFGでは2ラウンドを要するため、ファイナリティの達成には理論上最短でも約768秒かかると同財団は説明しています。
ブロック選択は少数精鋭、確定は全員で
新たな設計では、従来は各スロットで約3万人が参加していたブロック選択について、256〜512人程度の小規模な委員会に投票を任せる方式が同報告で検討されています。
ファイナリティでは引き続き全バリデーターの投票を収集し、ステーク量の3分の2以上による承認を維持する方針で、ブロック選択とは独立した時間軸で処理を進める構想です。
財団は、投票の分離によってネットワーク上の未使用帯域をファイナリティの処理に割り当てられるようになり、初期段階の改良でも高速化が見込めるとの見解を示しています。
高速化による実用面への影響については、財団が6月30日に公表した19件の関係者インタビュー調査でも取り上げられ、クロスチェーンブリッジやL2などの事業者が求める確定速度や運用上の課題が報告されました。
ブリッジ・L2が10〜20秒の確定を要望
同調査では、あるブリッジ事業者が取引確定まで10〜20秒程度を理想的な時間として挙げたほか、高性能L2の事業者からも、数十秒への短縮がユーザーの入金処理を大きく改善するとの見解が示されています。
財団によると、ブリッジやソルバーでは確定待ちの資金を早期に再利用できることで資本効率の改善が見込まれ、L2では入金処理に加え、blob(ブロブ)データの価格情報を迅速に確定することで、手数料設定の精度向上にもつながるとしています。
ただし、分離型コンセンサスの導入だけで約10秒のファイナリティが実現するわけではなく、同財団はバリデーターの集約や投票データの圧縮、通信方式の最適化などを追加の改良候補として挙げています。
今後は合意形成アルゴリズムやバリデーターのペナルティ設計、安全性の検証などを詰める必要があり、将来的なポスト量子(PQ)暗号への移行も考慮しながら、正式な仕様の策定と実装に向けた議論が進められる予定です。
ZK証明でAI課金の匿名化を実現
ETH合意形成刷新、2027年実装へ始動
イーサリアムでは、ブロック生成の役割分離や処理能力の拡大を図る「Glamsterdam(グラムスターダム)」に続き、「Hegotá(ヘゴタ)」でも検閲耐性や量子耐性への移行を見据えた改良が検討されています。
こうした大型アップグレードに続く開発構想として、イーサリアム財団が公開するロードマップ「Strawmap」では、分離型コンセンサスが将来の「I*」フォークにおける主要候補に位置づけられました。
草案の著者であるベン・エジントン氏は、同報告で2027年ごろの実装を挑戦的な目標として示す一方、正式な設計の確立や安全性の証明、クライアントへの実装などに課題が残るとの認識を明らかにしています。
分離型コンセンサスは、従来のロードマップ上の構想から10月21日のEIP草案提出へと進展しており、2027年ごろの実装目標に向けて、今後は正式な仕様の策定と開発者間の合意形成が進められる見通しです。
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Source:GitHub EIP PR #12566
サムネイル:AIによる生成画像

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