(CNN) パレスチナ自治区ヨルダン川西岸で昨年、パレスチナ人著名活動家が射殺された事件で、イスラエルの検察は6日、西岸在住のイスラエル人入植者を起訴したと発表した。パレスチナ人に対する暴行や殺人事件でイスラエルが入植者の罪を問うことは極めて異例。
イスラエル検察によると、イスラエル人入植者のイノン・レビ被告(33)は2025年にパレスチナ人のオデ・ハタリンさんが射殺された事件について、無謀過失致死の罪で起訴された。
無謀過失致死罪の最高刑は禁錮12年と、殺人罪よりも軽い。レビ被告は武装不法侵入や悪意ある器物損壊の罪でも起訴された。
イスラエル検察がパレスチナ人に対する暴力事件でイスラエル人入植者を起訴するのは極めて異例。イスラエルの人権団体ベツェレムによると、2023年10月7日にイスラエル人がヨルダン川西岸でパレスチナ人を殺害したとして起訴されて以来だった。
イスラエル人入植者の多くは武装しており、ガザで戦争が始まって以来、ヨルダン川西岸でも暴力事件が急増した。
ベツェレムによると、イスラエルは2023年10月以来、ヨルダン川西岸でパレスチナ人少なくとも1100人を殺害した。うち37人はイスラエル人入植者による殺害だった。
ハタリンさん(当時31)は入植者の暴力に対して声を上げていた著名活動家で、故郷を守るために戦うパレスチナ人住民の姿を描いた2025年のアカデミー賞受賞映画「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」の制作にもかかわった。3人の子の父親だったが、この映画の舞台になったヨルダン川西岸の集落で射殺された。
起訴状によると、レビ被告はパレスチナ人住民の私有地を横切る無許可道路を造成するようショベルカーの運転手(未成年)に命じた後、子どもたちを含む住民が集まっていた場所に向けて発砲した。
「ショベルカーの運転手は進路に立っていた人たちのうち1人に対してショベルカーの刃の部分を振るい、頭部と肩にけがをさせた。それでもレビ被告は運転手に合図して運転を続けさせ、敷地内の別のフェンスをショベルカーで突き破らせたとされる」。南部地方検察はそう発表している。

31歳で亡くなったパレスチナ人活動家オデ・ハタリン氏の葬儀に参列し、悲しみに暮れる遺族や友人たち=25年7月、ヨルダン川西岸/Tamir Kalifa/Getty Images
レビ被告は、ショベルカーを阻止しようと集まって投石していた住民たちと対立。このうち2人に暴行を加えたとされる。
続いてレビ被告は拳銃を構えて住民から離れ、子どもたちもいる場所で、「地面と平行に1発発砲した」
ハタリンさんは、20メートルほど離れた場所から撮影していて銃弾に当たり、命を落とした。
レビ被告は2021年、ヨルダン川西岸に無許可で入植地を建設した人物だった。
国連や国際社会のほとんどは、イスラエルが占領するヨルダン川西岸での入植活動を全て国際法違反とみなしている。しかし入植者はここ数年の間に何十カ所もの入植地を次々に無許可で建設し、事後にイスラエル政府の承認を取り付けている。
米国はバイデン政権時代の2024年2月、レビ被告らイスラエル人入植強硬派を初めて制裁の対象とし、英国やカナダ、欧州連合(EU)もこれに続いた。しかしドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲くと、真っ先にレビ被告ら入植者に対する制裁を解除した。

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