アルプスの景勝地に観光客が殺到、目当ては極上のお菓子 イタリア北部

3 時間前 3

(CNN) イタリア・ドロミテ山塊の標高の高い地点に位置する、普段は静かな山小屋(リフージョ)が、何百人もの観光客でごった返している。彼らは単に山々の絶景を楽しむためだけでなく、ある甘いお菓子を目当てにやって来るようだ。

イタリア北部のバル・ディ・ファッサ渓谷にできた長蛇の列。値段にして4ドル(約630円)相当のお菓子のために、これだけの人が並ぶ。フードブロガーやインフルエンサーたちがソーシャルメディア上で宣伝した結果だ。

地元では「クラプフェン」または「ボンボローネ」と呼ばれるこのお菓子は、ドーナツのような生地にバニラクリームやアプリコットジャムが入っている。

当該の山小屋のスタッフはCNNの取材に答え、この騒動について、先週複数の観光客が美しい景色を背景にクラプフェンを食べる様子をTikTokに投稿したことから始まったと語った。

動画は瞬く間に拡散し、人々は一口食べてみたいと山小屋に押し寄せ、長蛇の列ができた。

山小屋の管理者2人によると、「krapfen(クラプフェン)」のハッシュタグがついた投稿の中には数年前のものもあるが、この山小屋への関心は今年ピークに達したという。管理者らは訪問客の急増について、今年の異常な高温と涼しい場所を求めて人々が訪れるようになったことが原因だと考えている。ネットでより標高の高い山岳地帯のスポットを探していけば、自然とクラプフェンの投稿が浮上してくるのだという。

匿名を希望した管理者たちによれば、現在はクラプフェンの製造はおろか、決済システムさえも需要の増加に追いつけない状況だ。後者は現金ではなくタッチ決済が主流になったことが原因で、18日にはタッチ決済のせいでインターネットがダウンしたという。

「以前は、山に適した服装でやって来て、軽食と休憩のために立ち寄る熱心なハイカーばかりだった」と、管理者の一人はCNNの電話取材に答えた。「今の人々はハイキングの経験も装備もないまま、大きなリスクを冒してクラプフェンを食べに来る。本末転倒だ」

ソーシャルメディアの流行

観光客の急増は、静寂と孤独を求めて登山する従来のハイカーにとって迷惑なだけでなく、危険な事態にもなりかねない。

地元のアルペンクラブ会長を務めるフランチェスコ・アブルスカト氏は地元メディアに対し、静寂ではなくお菓子目当てで訪れる人々が取り返しのつかない被害をもたらしていると指摘する。

「コロナ禍を受け、自然の環境を体験したいという強い願望が生まれた。5、6年前まではドロミテ山脈の特定の地域でオーバーツーリズム(観光公害)が起こることはなかった」「今では絶景を堪能できなくなった名所が複数存在する。自撮り目的で数十人が押し寄せるからだ。彼らは自撮りのためだけにやって来る」(アブルスカト氏)

ドロミテ山脈のお菓子問題は、ソーシャルメディア上の流行が熱狂を引き起こした最近の事例に過ぎない。

今年初め、セチェダ山の写真撮影のために訪れる人々を制限するため、地元当局は登山道を閉鎖せざるを得なかった。

昨年夏には、セチェダ山脈とトレ・チーメ・ディ・ラバレド(三つの峰)の絶景を写真に収めようと畑を歩き回る人々から料金を徴収するべく、地元農家が実際に回転式の入出場ゲートを設置した。

イタリア山岳自治体・コミュニティー・団体連合(UNCEM)のマルコ・ブッソーネ会長は、こうした事例の増加を受けて、当局は観光客の流れと環境の保護について再考すべきだと述べている。

「山は遊び場ではない」。ブッソーネ氏は先週末、地元メディアにそう語った。「今回のクラプフェン問題は特異な事例であり、山岳観光全体を代表するものではない」「真の課題は、山は遊び場ではないのだと肝に銘じて、現地を適切に管理しなくてはならないということだ。そこには一年を通して生活している住民がいるということを忘れてはいけない」

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