このままでは日本の「おいしい」が危ないから。キリンが「一番搾り」を飲めば寄付になる、新ブランドアクションを発表

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「このままでは日本の“おいしい”を未来につなげることが難しくなる、そんな危機感がある」(キリンビールマーケティング部・木村正一さん)

気候変動による深刻な猛暑がもたらす米不足や品質低下の危機に対し、キリンビールは5月27日、フラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」をリニューアルし、7月から新たな「ブランドアクション」を開始すると発表した。商品の売上の一部を社会貢献活動などに寄付する、売上連動型の支援活動だ。

背景にあるのが、10月に予定されている酒税改正に伴うビール市場の変化だ。減税によってビールへ顧客が流入する「ビールシフト」が見込まれる中、各社による味や価格の競争の激化が始まっている。

 今回のリニューアルで同社は、「一番搾り」のホップ配合を最適化し、糖化方法を見直すなどで、より飲みやすく・飲み飽きない味わいへと進化させた。

2026年下期 ビール成長戦略 発表会資料より
2026年下期 ビール成長戦略 発表会資料より

キリンビール

加えて、「ブランドアクション」として、「社会課題の解決」に向けた具体的な取り組みをスタートさせる。気候変動による米不足や、品質低下の危機に直面する生産現場を支援していく。

具体的には、猛暑の中でも育てられる「暑さに強いお米」の新種開発などを支援する予定。商品の売上本数に応じて生産現場への寄付を行い、2026年には約5500万円規模の資金を投じて持続可能な米作りを後押しする方針だ。具体的な支援先などは今後公表される。

「極みの泡タップ」を活用したサーバー
「極みの泡タップ」を活用したサーバー

キリンビール

また10月からは、13年の開発期間を経て実現した「極みの泡タップ」によるビール体験を全国9カ所の工場見学施設で提供開始する。窒素ガスボンベを使用せず、空気中の窒素を活用してきめ細かくもっちりとした泡を生み出す独自技術で、一番搾りのうまみをさらに引き立てる。

キリンが取り組んできた「ブランドアクション」

発表会では、同社がこれまで実施してきた「キリンビール 晴れ風」や「グッドエールJAPAN」におけるブランドアクションの成果も公表された。

キリングループのCSV「晴れ風ACTION」
キリングループのCSV「晴れ風ACTION」

キリンビール

代表的な先行事例である「晴れ風ACTION」は、日本の伝統や風物詩の保全を目的としたものだ。消滅の危機にある桜並木の再生や花火大会の運営支援を継続しており、これまでに延べ288の自治体へ総額2億円以上の寄付を実施。2026年には188の自治体を対象に1.1億円の寄付を予定している。

キリングループのCSV「グッドエールJAPAN」
キリングループのCSV「グッドエールJAPAN」

キリンビール

また、「グッドエールJAPAN」では地域コミュニティの活性化を掲げ、地方の取り組みを広く支援してきた。これらの活動に共通しているのは、商品の購入をベースに消費者を巻き込む独自の寄付スキームだ。

対象商品の売上に応じた寄付に加え、専用サイト上で配布される「コイン」を使い、ユーザー自身が応援したい自治体やイベントを選択して投票できるシステムを導入している。商品の購買と、ユーザー自身の意思による投票を掛け合わせることで、生活者が主体的に社会貢献へ参加できる仕組みを実現した。

若年層を中心に購買意欲や企業イメージが向上

2026年下期 ビール成長戦略 発表会資料より
2026年下期 ビール成長戦略 発表会資料より

キリンビール

発表会では、ブランドアクションへの認知や参加の階層が上がるほど、商品の購入意向が高まるという調査結果が示された。ブランドアクションを知っている人は知らない人に比べて、購入意向が高く、「晴れ風」で16ポイント、「グッドエール」では19ポイント高いという結果になっている。

下期ビール成長戦略発表会 マーケティング部・木村正一氏(ビール類カテゴリー戦略担当カテゴリーマネージャー)
下期ビール成長戦略発表会 マーケティング部・木村正一氏(ビール類カテゴリー戦略担当カテゴリーマネージャー)

キリンビール

同社のマーケティング部・木村正一氏(ビール類カテゴリー戦略担当カテゴリーマネージャー)は、「共感や理念でブランドを選ぶ傾向は50〜60代で高い傾向にあるのですが、今回の取り組みでは20代の若年層がポジティブな反応を示している」と述べた。

SDGsへの意識が高い一方で「アルコール離れ」が指摘される若年層に対し、「ビールを買うことが社会貢献になる」という新たな価値を提示できたことが、購買意欲の向上に繋がっていると分析する。さらに、こうした商品や活動への共感がキリンビールという企業全体への好感度の押し上げにも連動していることが明かされた。

同社が注力してきた活動がブランドのファンを増やし、ビジネスを成長させていることが、実際のデータによって裏付けられた形だ。

「本麒麟」、第3のビールからビールに刷新

ビール格上げが発表された「本麒麟」
ビール格上げが発表された「本麒麟」

キリンビール

同発表会では人気ブランド「本麒麟」の刷新も発表された。これまでは税率の低い「第3のビール」として親しまれてきたが、10月の酒税改正で、ビールとの税率の差がなくなることを見据え、11月から「ビール(麦芽100%生ビール)」へと進化を遂げる。

ビール大手は各社とも、長年「第3のビール」として売ってきた看板商品を、続々と「ビール」に格上げする方針を打ち出している。キリンの「本麒麟」のほか、サントリーは「金麦」、サッポロは「ゴールドスター」、アサヒは「クリアアサヒ」などをそれぞれビールに格上げする予定だ。いずれもブランドはそのまま、味わいは人気の部分を引き継いで、再出発する。

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