(CNN) 航空機事故の音声を静止画から抽出できる新技術が論議を招いている。米国家運輸安全委員会(NTSB)は、調査に関連するほぼ全ての情報公開をいったん停止する異例の措置を講じた。
CVR(コックピットボイスレコーダー)と呼ばれる操縦席の音声記録は民間機のパイロットの会話をすべて録音しており、NTSBの調査では貴重な資料となるが、犠牲者や遺族への配慮から公開されることはほとんどない。
米ケンタッキー州ルイビルでは昨年11月4日、国際貨物大手UPS2976便の離陸中に主翼からエンジンが脱落し、機体が墜落する事故が発生。搭乗していた乗員3人と地上の12人が死亡した。
NTSBは今週行われた2日間の調査ヒアリング中、この墜落に関する詳細が盛り込まれた資料一式を公開した。そこには数千ページの報告書やエンジンが分離する様子を捉えた映像に加え、CVRの文字起こしや、録音された音声のスペクトログラム解析を示すPDFファイルも含まれていた。
スペクトログラムとは、音声の周波数の変動を視覚的に表した静止画を指す。この静止画を利用することで、一般の人が墜落直前のパイロットの声を再現し、インターネット上に結果を投稿することが可能になった。
投稿された音声には、パイロットが飛行不能になった機体の操縦に苦労する最後の30秒間や、NTSBが別の飛行機で行った試験の記録が捉えられており、背景音やエコーも含まれていた。
NTSBは21日の声明で、連邦法や機密性の高い内容であることを理由に、「コックピットの音声記録を公開しない」方針を表明。一方で「画像認識技術や計算手法の進歩により、個人が音声スペクトルからコックピットボイスレコーダーの音声をおおむね再現できるようになったことは認識している」とも説明した。
調査資料は透明性確保のために公開されるが、NTSBは今週、UPS機墜落の記録を含め、すべての資料の一般公開を停止する異例の措置を取った。
NTSBの報道官は「我々は長年、自分たちの仕事を公開してきた。画像から音声を再現できるとは、誰も認識していなかった」「今やデジタル再現される可能性が出てきたことを踏まえ、NTSBは目下、プライバシー侵害につながりかねない情報が他にないか確認しているところだ」としている。
NTSBのホメンディ委員長は、音声がオンライン上に公開されたことを「極めて憂慮すべき」事態と形容した。
ホメンディ氏はX(旧ツイッター)への投稿で「CVR音声の公開を禁じる法律が存在するのは、プライバシーを保護してNTSBの調査の完全性を維持するため、そして計り知れない喪失のただ中にある事故の犠牲者と遺族への敬意からだ」と指摘している。
NTSBはXや掲示板サイトのレディットなどに対し、問題の音声が含まれた投稿を削除するよう求めている。

16 時間前
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