FIFA(国際サッカー連盟)は7月5日、ワールドカップでレッドカードを出されて退場になったアメリカ代表フォラリン・バログン選手に対する出場停止処分を取り消すと発表した。
この一件を巡り、アメリカのトランプ大統領が出場停止処分を取り消すようFIFAのインファンティーノ会長に求めていたと報じられている。
この決定により、バログン選手は6日(現地時間)にワシントン州シアトルで行われるベルギー戦への出場が可能となった。
規定では次の試合に出場停止となっているが…
バログン選手は7月1日に行われた決勝トーナメント初戦のボスニア・ヘルツェゴビナとの試合で、タリク・ムハレモヴィッチの右足首を踏んでレッドカードを提示された。
FIFAは規定で、レッドカードを受けた選手は、次の試合が出場停止になると定めている。レッドカードは「大会のどの時点においてもリセットされることはない」とされている。
バログン選手は今大会、アメリカ代表最多となる3得点を挙げており、2-0で勝利したボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも、先制ゴールを決めていた。
準々決勝進出を目指すアメリカ代表にとって、バログン選手の欠場は大きな痛手になる。
この決定を覆すために動いたのが、国のトップであるトランプ氏だと報じられている。
ニューヨークタイムズやAP通信は5日、「トランプ氏がインファンティーノ会長に電話をして出場停止処分の見直しを求めていた」とやり取りを知る匿名の関係者からの証言をもとに報じた。
FIFAの規律委員会は5日、FIFA懲戒規程第27条に基づき、バログン選手の1試合の出場停止処分を1年間の執行猶予期間付きで停止すると発表した。
これを受けてトランプ氏は6日、「不当な処分を覆す正しい判断をしたFIFAに感謝する!」とトゥルースソーシャルに投稿して決定を歓迎した。
ただしトランプ氏は投稿で、インファンティーノ会長と今回の決定に関わるやり取りをしたかどうかについては言及していない。
対戦相手は反発
一方、ベルギー代表チームは今回の決定に強く反発している。
ベルギーサッカー協会は5日、この決定について「驚きを禁じ得ない」と声明でコメント。「すべての参加チームの正当な権利とフェアプレーという基本原則を守るために、可能な限りすべての対応策を検討している」との考えを示した。
またAP通信によると、ベルギー代表のガルシア監督は、「FIFAでは7月5日がヨーロッパの4月1日(エイプリルフール)だったとは知りませんでした」と皮肉を交えて対応を批判。
「ベルギーサッカー協会は自分の代表チームだけを守ろうとしているわけではありません。サッカーそのものやその高潔さ、倫理を守ろうとしているのです」と述べた。
ニューヨークタイムズによると、ワールドカップでレッドカードによる出場停止処分が覆されるのは、半世紀以上前の1962年にさかのぼる。この時は、ブラジルのエースだったガリンシャ選手の準決勝での退場処分が取り消しになり、決勝戦への出場が認められた。
また、FIFAは2025年11月に、ワールドカップ予選で対戦相手に肘打ちをしてレッドカードを受けたポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手の3試合の出場停止処分のうち最後の2試合の執行を猶予した。その結果、ロナウド選手はワールドカップ初戦から出場が認められた。
今回のバログン選手の出場停止処分取り消しの理由について、FIFAは声明で説明していないが、インファンティーノ会長はこれまでトランプ氏と親密な関係を築くことに努めてきた。
FIFAはワールドカップ開催を控えた2025年に、ノーベル平和賞を逃したトランプ氏に、FIFA平和賞を授与した。
またインファンティーノ会長は6月23日、トランプ氏がワールドカップ決勝戦に出席し、優勝チームにトロフィーを授与する予定だと明らかにした。

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