
この記事の要点
- コインシェアーズ、BTC「8万ドル超え困難」と分析
- コアCPI上振れで仮想通貨商品から約380億円流出
「BTC上値は重い」コインシェアーズ指摘
欧州のデジタル資産運用大手CoinShares(コインシェアーズ)で調査責任者を務めるジェームズ・バターフィル氏は2026年9月11日、ビットコイン(BTC)が短期的な逆風と中期的な追い風という相反する材料に直面していると分析したレポートを公表しました。
短期的には、同日に発表された米消費者物価指数(CPI)でコア指数が市場予想を上回り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測が強まったことで、BTCが8万ドル(約1,240万円)を持続的に上回る展開は難しくなったと分析しています。
資金フローにも変化が表れており、デジタル資産投資商品は前週の約13億ドル(約2,015億円)の流入から一転し、今週はこれまでに2億4,300万ドル(約380億円)の流出となっています。
一方、バターフィル氏は、米財務省が国債買い戻しを拡大しても長期金利が十分に低下していない現状について、今後さらに大規模な介入を促す可能性があり、中期的にはBTCの追い風になり得るとの見方を示しました。
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利上げ観測と買い戻し不発が同時進行
コアCPI上振れ、利上げ確率85%に
米労働統計局(BLS)は9月11日、8月分のCPIを公表し、総合指数は前月比0.4%、前年同月比3.4%の上昇となりました。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.3%上昇して市場予想の0.2%を上回り、ガソリン価格も前月比3.9%上昇しています。
コインシェアーズは、総合指数がおおむね予想通りだった一方、コア指数が想定より強かったことでFRBが金融緩和へ転じる余地は広がらず、9月の利上げと引き締め長期化の可能性が高まったと分析しています。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchツールでも、9月15〜16日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%の利上げが実施される確率は約85%まで上昇しました。
バターフィル氏は、より弱い経済指標やFRBのハト派転換、別の政策的なきっかけが現れない限り、BTCが8万ドルを明確に上回る動きは難しいとの見通しを示しています。
財務省が買い戻し拡大も効果は限定的
バターフィル氏は、短期的にはBTCの上値が抑えられるとみる一方、中期的には米財務省による長期国債の買い戻しに注目しています。
米財務省は8月19日、10年から30年の長期国債を対象とする流動性支援の買い戻しについて、1回あたりの上限を20億ドル(約3,090億円)から少なくとも40億ドル(約6,190億円)へ引き上げると発表しました。
拡大措置は9月9日から11月4日まで適用され、財務省は市場参加者から長期債の買い戻しに強い需要が寄せられていることを踏まえ、同年限での流動性支援を厚くする方針を示しています。
しかしコインシェアーズは、買い戻し規模を拡大しても長期金利を十分に押し下げるには至らず、財政への懸念や高止まりするインフレ、ターム・プレミアム(長期債を保有する対価として上乗せされる利回り)が買い入れ効果を上回っていると指摘しました。
バターフィル氏は、現行の買い戻しで借入コストを抑えられない状態が続き、原油価格の上昇も重なれば、スコット・ベッセント財務長官に対してより強力な介入を求める圧力が高まるとみています。
「バズーカ砲」発動なら中期の追い風に
一方、バターフィル氏は、より大規模な「バズーカ砲」型の国債買い入れに踏み切れば、BTCにとって中期的な追い風になり得るとみています。
同氏は、財政見通しの改善を伴わないまま借入コストを人為的に抑え込めば、財政支配や債務の持続可能性、ドルの長期的な購買力への懸念が強まる可能性があると分析しています。
そうした懸念は、通貨価値の毀損に備える「デベースメント」の投資テーマを補強し、直近数週間でBTCと金を支えてきた流れをさらに強める可能性があると述べました。
バターフィル氏は、財務省による大規模な介入が実現した場合、BTCにとって中期的に最も強力な触媒の一つになり得るとの見通しを示しています。
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利上げ観測と中期の追い風が同時に強まる
FRBのケビン・ウォーシュ議長は8月28日の講演で、インフレ率が2%目標を上回っていると指摘し、基調的なインフレが十分な速さで目標へ向かっていると確信できなければ追加の政策対応が必要になるとの姿勢を示しました。
米財務省を巡っては、8月に長期国債の買い戻し規模を拡大しており、今回のコインシェアーズ分析では、その後も長期金利を十分に押し下げられていない点が取り上げられています。
同社は、CPI上振れによる利上げ観測をBTCの短期的な逆風とする一方、国債買い戻しの不発を受けて米財務省がより大規模な介入に踏み切れば、デベースメントの観点から中期的な追い風になり得ると分析しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.58 円)
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Source:CoinSharesマーケットアップデート
サムネイル:AIによる生成画像

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