「食べると小人が見える」中国の幻覚キノコ、未知の幻覚成分だった

7 時間前 2

世界各地に伝わる「小人の目撃談」

中国の雲南省の市場には「見手青(Jian shou qing)」と呼ばれる野生のキノコが流通しています。

このキノコは十分に加熱した場合、特に問題は起きませんが、加熱が不十分だった場合、幻覚症状が現れると言われています。

そして興味深いのが、加熱不足のこのキノコで幻覚を見た人が、みんな似たような内容を報告している点です。

地元の病院の記録によると、このキノコで幻覚を見た患者の96%が、周囲で小さな人が踊ったり行進したりしているのを見たと訴えていることが報告されています。

また現地の大学教授がこのキノコを食べた際の詳しい報告をしています。彼はテーブルクロスの下に小さな人々が軍隊のように整列して行進している様子を見たと語っており、さらにその身長を測ってみたら2cmだったと具体的に報告しています。

このような小人が見える幻覚症状は、医学的に多くの報告があり、ガリバー旅行記のエピソードにちなんで「リリパット幻視(Lilliputian Hallucinations)」と呼ばれています。

そして今回の研究チームが、この「リリパット幻視」ついて過去の報告を調べたところ、中国だけでなく、世界各地で小人の幻覚を見るキノコが報告されているとわかったのです

歴史を遡ると、1934年にパプアニューギニアの山岳地帯を調査していた人類学者らの記録が見つかります。そこでは、野生キノコを食べた現地人が「顔の周りに小さな人が見える」と騒いでいた現象が記録されています。

さらにフィリピンの原生林に暮らす先住民の間でも、小さな人が見える野生キノコの存在が伝えられています。

奇妙なのは、地理的に離れた異なる文化圏で、一貫して似たようなイメージの幻覚が報告されていることです。

視覚性の幻覚とは、視覚野などの脳の知覚ネットワークの働きに影響を与える化学成分によって、実際には無いものが「見えた」と処理される現象を指します。

例えば、マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分シロシビンは、脳の視覚処理における意味づけの働きを変化させるため、色や模様を鮮やかに感じたり、逆に形がゆがんで見えたり、物に深い意味を感じたり、そこにいない人の存在を感じるなどの体験が報告されています。

ただ、このような一般的な幻覚体験では、本人の記憶、経験、宗教、文化的イメージに影響されるとされており、幻覚の内容は抽象的で固定されたイメージはありません。

そのため世界のどこへ行っても、「小人が見える」と共通した幻覚が報告されている事実は非常に興味深いのです。

そこで、研究チームは「キノコに何らかの共通する原因物質があるかもしれない」という仮説を立て、その実態を調査することにしました。

研究チームは、中国の市場、フィリピンの野生のキノコを採集し、DNAを抽出して、「全ゲノム(Whole genome)」を解読しました。

すると、中国の市場で売られていたキノコと、フィリピンの森で採集したキノコは、どちらも「ランマオア・アジアティカ(Lanmaoa asiatica)」という、同じ種類のキノコであることが判明しました。

つまり、離れた地域で共通して小人の幻覚が見えると言われていたキノコは、同じものだったのです。

さらに注目すべき発見は、このキノコのゲノムからは、既知の幻覚成分であるシロシビンやイボテン酸を作る遺伝子が見つからなかったことです。

この結果は、各地で人々が目撃している「小人の幻覚」が、既知の幻覚成分ではなく、未知の幻覚成分で起きている可能性を示唆しています。

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