(CNN) 重要な遺伝子を1度だけ「切断する」処置により、コレステロールが1年間にわたり約50%低下し、副作用もみられなかったことが分かった。28日に医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された最新報告で明らかになった。
非常に良好な結果が確認されたのは、2025年11月に同誌に掲載された予備研究で、実験的治療の最高用量を投与された4人。
研究は、危険なほどコレステロール値が高く、薬物療法にも反応しなかった患者15人のみを対象とする極めて小規模なものだった。遺伝子を改変する点滴薬について5種類の用量の安全性を検証する目的で行われ、点滴薬には、標的とする遺伝子座を切断して遺伝子を改変したり、オン・オフを切り替えたりする「生物学的なはさみ」のように働く「CRISPR-Cas9」が用いられた。
研究の最新報告は、重要な疑問に答えたようだ。つまり、この治療の効果は持続するのか――。
研究の筆頭著者で、米クリーブランド・クリニックの心臓・血管・胸部研究所に所属する予防心臓病医のルーク・ラフィン氏は「今回の新しいデータが示しているのは、治療から60日後に確認されたLDLコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)の低下が、1年以上持続しているということだ」と述べた。「最高用量を投与された人では、低下効果が持続し、安全性も保たれているようだ」
低比重リポたんぱく質、すなわちLDLは「悪玉」コレステロールとして知られている。心臓病に大きく関与しており、心臓病は全世界で成人の死因の第1位となっている。中性脂肪は血液中に存在する別の種類の脂肪で、これも心血管疾患のリスク上昇と関連している。
より大規模な臨床試験で同様の結果が確認されれば、この治療法は重い病気を抱える若者の状況を一変させる可能性があると、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターの心臓病学准教授のアン・マリー・ナバー氏はかねてCNNに語っていた。同氏はこの研究に関与していない。
「20歳でコレステロール値が非常に高いのであれば、その後60年間、毎日薬を飲んだり2週間ごとに注射を受けたりし続ける必要のない、1度きりの治療を受ける方がはるかに理にかなっているかもしれない」
今回の結果が期待を集めるもう一つの理由は、高いコレステロール値を抑えるためには毎日の服薬が欠かせないが、年齢を問わず非常に多くの患者が飲み忘れてしまう点にある。
研究者らは、コレステロールの薬を処方の80%以上服用している人は半数にとどまり、33~50%は治療開始から1年以内に服用を中止すると推計している。
幸運な遺伝子変異が心臓病のリスクを低下
遺伝子編集治療の発想は、LDLと中性脂肪の調節を担うANGPTL3(アンジオポエチン様たんぱく質)に生じる遺伝子変異という珍しい現象に由来する。
専門家によると、この遺伝子変異を持つ人は米国では約250人に1人にみられ、ANGPTL3の遺伝子の複製の一方または両方が機能しなくなっている。その結果は劇的で、生涯にわたってLDLコレステロールと中性脂肪が極めて低い水準に保たれ、明らかな悪影響もないという。この変異により心臓病のリスクも大幅に低下するか、全くなくなることさえある。
最高用量が最も高い効果
研究では、CRISPRを使った薬剤について、一つのグループには体重1キロ当たり0.1ミリグラムというごく少量を投与し、ほかのグループにはそれぞれ同0.3、0.6、0.7、0.8ミリグラムを投与した。
点滴から2カ月後に測定したところ、最高用量の0.8ミリグラムを投与された人では、中性脂肪が平均55%低下し、LDLコレステロールも50%近く低下した。1年後には、これらの研究参加者の中性脂肪値は平均で約48%低くなり、コレステロール値は約53%低下していた。
最初の治療による副作用は最小限で、主に点滴部位の炎症症状だった。1人は椎間板(ついかんばん)ヘルニアを発症し、別の1人は肝障害の兆候となりうる酵素値の上昇がみられたが、2週間以内に解消した。
ただし、1人は点滴から6カ月後に死亡した。しかしこの患者には広範囲に及ぶ進行した心血管疾患があり、投与量は最も少ない0.1だった。
研究チームは「この患者の死亡が研究に何らかの意味を持つとは考えていない」といい、米食品医薬品局(FDA)の勧告に従って、長期的な有害作用がないかを確認するため、試験終了後も15年間、これらの人々を追跡するとしている。

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