議会、子供保護へSNS規制推進 AI巡るジレンマが障害に

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路上で携帯電話を手にしている若者のグループ。(写真提供:carballo、Shutterstock経由)

路上で携帯電話を手にしている若者のグループ。(写真提供:carballo、Shutterstock経由)

By Lindsey McPherson – The Washington Times – Friday, July 10, 2026

 議会は、子供をオンライン上で保護するための巨大IT企業への規制強化に長年取り組んできた。だが、人工知能(AI)規制を巡る論争と絡み合い、法案成立への道筋は一段と複雑になっている。

 かつてはグーグル、アップル、メタ、X、TikTok(ティックトック)を対象とした戦いだったが、今ではオープンAIやアンソロピックなどAI企業にも対象が広がっている。

 特に子供の安全確保を目的にSNS企業への規制強化を求めてきた議員らも、発展途上にあるAI産業を過度に規制することには慎重な姿勢を示している。

 共和党のテッド・クルーズ上院商業委員長は「中国に主導権を奪われたり、米国民の表現の自由を制限したりすることなく、壊滅的なリスクに対処しなければならない」と述べた。

 クルーズ氏は、トランプ大統領が6月にAIやサイバーセキュリティー、国家安全保障を柱とする大統領令を発令した後、この考えを示した。ホワイトハウスによると、これとは別に2025年12月にはAIの技術革新と州法の優先権を巡る大統領令も出されている。

 この大統領令は、AIがもたらす弊害への対応と、米国のAI開発を妨げないこととの微妙な均衡を図ることを目的としている。

 議会でも、子供をオンライン上で保護する包括法案の一環としてAIに一定の規制を設けることを検討する中で、同様の課題に直面している。

 州法の優先権を巡る議論の背景には、AI企業が技術開発を進める上で、全米で統一された規制を整えたいとの考えがある。

 共和党のジョン・スーン上院院内総務はワシントン・タイムズに対し、「州の権限を尊重しつつ、企業が50通りもの法律に対応しなくて済むよう、全国一律の基準を設けるための議論が続いている」と語った。

 その上で「それがホワイトハウスや多くの共和党議員の目標であり、どう折り合いを付けるかを模索している」と述べた。

 スーン氏は、前議会で上院が91対3の賛成多数で可決した超党派法案「子供オンライン安全法(KOSA)」について、「AI法案を前進させる原動力になり得る」との認識を示した。この法案は、子供オンラインプライバシー保護法(COPPA)の改正案などと一括で可決された。

 KOSAの共同提案者である共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は、その実現に向けてホワイトハウスとの協議を主導している。

 同議員の報道官によると、目的は「上院版KOSA、NO FAKES法、年齢確認義務を盛り込んだAI州法優先権パッケージの法案を最終的に取りまとめ、子供やクリエーター、地域社会を保護すること」にある。

 NO FAKES法は、AIによる音声や肖像の無断複製の増加を受け、個人の声や容姿を保護することを目的とした法案である。民主党のクリス・クーンズ上院議員が中心となり、ブラックバーン氏も共同提案者となっており、6月には上院司法委員会を通過した。

 一方、KOSAの共同提案者である民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員は、KOSAにAI州法優先権を組み込むことに反対している。

 同氏は「州法優先権は盛り込むべきではない。絶対にだ」と語った。

 下院でも、独自の子供オンライン安全法案を巡り同様の党派間の対立があった。

 下院エネルギー・商業委員会は3月、「子供インターネット・デジタル安全法(KIDS法)」として、KOSAの下院版を含む8法案を審議した。その中には、未成年者とAIチャットボットとのやり取りに関する安全対策も盛り込まれていた。

 しかし、州が同様の法律を制定・施行することを制限する条項が含まれていたため、民主党議員は委員会で法案に反対した。

 その後、共和党のブレット・ガスリー委員長と民主党のフランク・パローン筆頭委員は修正版で合意した。各州は少なくとも連邦基準を満たす必要がある一方、それを上回る規制を設けることは認める内容となった。

 下院は6月29日、この超党派修正版を267対117で可決した。

 パローン氏はワシントン・タイムズに対し、ブラックバーン氏がAI規制について州法を排除する内容に修正するのであれば「到底受け入れられない」と述べた。

 「われわれの法案は連邦基準を最低基準とし、それ以上の規制を州に認める内容だった。今度はAIでも州法を排除しようとしているのか。それは問題だ」

 一方、ガスリー氏は、この点では上院が下院案より踏み込むことを歓迎する考えを示した。

 同氏は政治メディア「パンチボウル・ニュース」の最近のイベントで「50種類もの基準が存在すれば、企業活動は非常に難しくなる」と述べた。

 ブラックバーン氏がホワイトハウスとの交渉を主導しているものの、商業委員会でどの法案を審議するかを最終的に決めるのはクルーズ委員長だ。

 クルーズ氏は、この夏にもKOSAを含む複数の子供オンライン安全法案を委員会で審議する方針を示している。AI関連法案も併せて扱いたい考えだが、具体的な内容については明らかにしていない。

 同氏はNO FAKES法の司法委員会審議で「この分野の立法は複雑で、多くの危険を伴う」と語った。

 同法案を委員会で可決することには賛成したものの、本会議採決の前に表現の自由を守るための追加措置が必要との考えを示した。

 クルーズ氏は政治専門メディア「ポリティコ」に対し、超党派の支持を得られる法案を基準に商業委員会で審議する法案を選定していると語った。

 「今回の審議は、実際に成立する可能性がある法案を前進させることが目的だ」

 一方、同委の民主党筆頭マリア・キャントウェル上院議員は「委員会の誰もクルーズ委員長が何を提案するつもりなのか分かっていない」と話した。

 同氏は上院版KOSAの成立を望む一方で、「子供保護法案を問題のあるAI政策と結び付ける必要は全くない」と述べた。

 AI州法優先権を巡る対立はあるものの、上院議員の多くは、上院版KOSAが下院版より優れているとの認識で一致している。その理由は、「注意義務」条項が盛り込まれているためだ。

 この条項は、子供に有害なコンテンツが届かないようプラットフォーム設計上の基準を守らなかったSNS企業に法的責任を負わせる内容となっている。

 しかし、下院共和党は、この条項は規制権限を逸脱するものとして司法判断の対象となり、インターネット上の表現の自由を制限しかねないとして強く反対している。

 共和党のモーガン・グリフィス下院議員はワシントン・タイムズに対し、「注意義務条項は成立させられない。欧州型の言論統制につながる入り口と受け止められている」と語った。

 グリフィス氏は、注意義務条項とAI州法優先権を巡る対立により、子供オンライン安全法案で上下両院と与野党が合意できる妥協点を見いだすのは容易ではないとの見方を示した。

 その上で「しかし、何らかの対策は講じなければならない。現状では何もないのだから」と述べた。

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