脳の一部だけに「睡眠のリズム」を起こす実験
特にノンレム睡眠では、神経細胞が一斉に活動する時間と、静まる時間がゆっくりと繰り返されています。
このリズムは、脳が記憶を整理し、次の学習に備えるために重要だと考えられています。
研究チームが知りたかったのは、この睡眠の働きが「脳全体が眠ること」によってしか起こらないのか、それとも「睡眠中に現れる特定の神経リズム」があれば、覚醒中の脳の一部でも再現できるのかという点でした。
そこでチームは、睡眠不足にしたマウスの脳の一部に光刺激を与え、ノンレム睡眠に似た活動パターンを人工的に起こしました。
実験では、マウスを5時間起こし続け、その最後の30分間に、脳の片側の皮質だけへ刺激を加えました。
その後、マウスを眠らせて脳活動を調べると、刺激を受けた領域では、睡眠中に強く出るはずのゆっくりした脳の波、つまり「眠り足りなさ」の指標が低くなっていました。
これは、その領域で睡眠不足による負担が一部軽くなり、通常の睡眠で強く回復する必要が少なくなった可能性を示します。
さらに重要なのは、単に神経活動を弱めただけでは同じ効果が出なかった点です。
効果を生んだのは、神経を静かにすることそのものではなく、ノンレム睡眠に似た「活動する時間」と「静まる時間」の繰り返しでした。
つまり、睡眠の回復作用には、脳をただ静かにすることではなく、ノンレム睡眠に似た「活動」と「休止」のリズムが深く関わっている可能性があるのです。
では、この「脳の一部だけの睡眠」は、実際の記憶にも影響したのでしょうか。より詳しい結果を次に見ていきましょう。






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