ロードアイランド州クォンセット州立空港(CNN) 小型のセスナ・キャラバンが滑走路を加速して離陸する。その間、隣に座るパイロットは操縦桿(かん)から手を離したままだ。
このフライトで、筆者の左側に座るテストパイロットのマット・ダイアモンド氏は一切操縦していない。パイロットの通常業務の多くは、人工知能(AI)が代わりに対応している。
法的な観点から言えば、筆者は被験者だ。機体にも「実験機」というラベルが貼られている。自律飛行技術を手がける新興企業マーリンラボのマーリン・パイロット・システムは従来の自動操縦をはるかに上回り、自然言語処理モデルを使って模擬管制官からの指示を聞き取って、コンピューターが生成した女性の声で無線に応答する。ダイアモンド氏が「許可する」と言うと、飛行機は新しい航路へ旋回を始める。
パイロットでもある筆者は、コンピューターに操縦を委ねることにたやすく慣れることはなかった。しかし、より多くの航空会社がAIを活用してパイロットの業務を自動化し、いつかは完全自律飛行を実現しようと空の旅の進化を模索する中、この実演は重要な意味を持つ。

テストパイロットのマット・ダイアモンド氏(右)は離陸時に操縦桿(かん)から手を離したままだった/CNN
世界中の航空会社は深刻化するパイロット不足に直面している。ボーイングは今後20年の間に航空各社で60万人あまりの新たなパイロットが必要になると試算している。同時に航空安全当局は、近年相次ぐ重大なニアミスや死亡事故を受け、すでに人手が逼迫(ひっぱく)している航空管制システムへのさらなる圧力に直面している。
AI支援操縦に向けた動きは米政府の支持も得ている。ダフィー運輸長官は、米国の老朽化した航空管制システムの近代化を推進するトランプ政権の幅広い取り組みの一環としてAIツールの活用を推進してきた。
ダフィー氏は、政権はAIを、管制官の作業負荷を軽減し、混雑が進む空域全体の効率を向上させる手段と捉えていると述べた。
マーリンは、操縦室でもみられる同様の問題の解決にAIが将来的に貢献できると主張する。「航空事故の80%は今もヒューマンエラーが原因だ」とマーリンのマシュー・ジョージ最高経営責任者(CEO)はCNNに語った。「それを減らせるなら、時間を費やす価値は十分にある」

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