米国防当局者、中国への「現実主義」政策を提示 静かな外交、抑止力を強化

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2026年2月12日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で、ウクライナ防衛連絡グループの会合開始を待つエルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)。(AP通信/ゲールト・ヴァンデン・ワインガート撮影)

2026年2月12日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で、ウクライナ防衛連絡グループの会合開始を待つエルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)。(AP通信/ゲールト・ヴァンデン・ワインガート撮影)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, August 10, 2026

 米国防総省のアジア太平洋地域での新たな「現実主義」政策は、この地域の脅威について、道徳的な価値判断を示したり、名指しで非難したりするものではない――。国防総省の政策担当トップが10日、フィリピンで行った演説で明らかにした。演説では、中国による悪質な活動や地域での攻撃的行動への言及はなかった。

 エルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)は演説で、米国の国防指導部は、地域の同盟国を威圧したり、広大な地域を支配しようとしたりする国を名指しで非難することはないと述べた。

 その代わり、新たな国防総省の政策の下で、静かで礼節ある関係を築くことを掲げる一方、中国沿岸沖に連なる「第1列島線」と呼ばれる島々に沿って米軍の防衛力を強化する。

 コルビー氏が首都マニラのシンクタンクで行った4000語に及ぶこの演説では、中国への具体的な言及はなかったが、演説の文脈や同氏のこれまでの発言から、中国を指していることは明らかだ。

 新政策は強く明確でありながら、静かな姿勢を取ることを目指すとコルビー氏は述べ、セオドア・ルーズベルト大統領の「穏やかに話し、大きな棍棒を持て」という言葉を反映したものだと説明した。

 「私たちは、本気で考えていることだけを口にし、口にしたことは必ず実行する。見せ掛けだけのパフォーマンスや、正義を振りかざすような説教じみた演説はしない」とコルビー氏は述べた。

 トランプ政権の国防政策について一部からは「見せ掛けだけのパフォーマンス」であり、戦略的というより象徴的な意味合いが強いという批判もある。

 コルビー氏は、新政策は従来の政策を否定するものではなく、「われわれの国民の具体的な利益を最優先しつつ、多くの他国の利益とも一致する、現実を直視した、明確な共和党の現実主義だ」と述べた。

 この政策は孤立主義ではなく、自国の利益を基にした「実務的な再調整」だとし、現実的で、イデオロギー的でも硬直的でもないと説明した。

 コルビー氏は、国防総省は「道徳を説く演説」を通じて「大声で、言葉による挑発を行う」必要を感じていないと述べた。

 その代わり、米軍は防衛産業の即応態勢と「抑止力を静かに、絶え間なく強化すること」によって、力を示すシグナルを送るという。

 新政策はアジアから「覇権」を排除することを目指すが、コルビー氏は潜在的な覇権国がどの国で、何をしているかについては触れなかった。

 同氏は言及しなかったものの、中国のこの地域での活動は、ますます攻撃的になっている。南シナ海の係争中の島々を巡りフィリピンと海上で対峙しているほか、台湾周辺では大規模で威嚇的な軍事演習を行い、台湾海峡の脆弱な現状を変化させている。また、日本に対する敵対的な言動も強まっている。

 中国はまた、サイバー攻撃を続けている。将来の破壊工作に利用できる悪意あるソフトウエアを米国のインフラに仕込んでいたほか、米国の高度な技術や知的財産を大量に窃取し、米国を標的とする攻撃的な諜報・影響工作も行っている。

 コルビー氏は、新政策はピート・ヘグセス国防長官が昨年の演説で示した、米軍の目標である西太平洋での「拒否能力による防衛態勢」を構築し、侵略を抑止するとともに戦争を不合理なものにする方針に基づくと述べた。

 この拒否能力による防衛には、同盟国と共有するインフラを利用した地域内の分散型補給拠点や、事前配備された軍事資産が含まれる。

 国防総省ナンバー3のコルビー氏は、過去の対中政策を巡り、政策エリートや評論家を批判した。

 ワシントンの「エリート論客」は新たなアプローチに反対しているようだが、新政策はドワイト・アイゼンハワー、リチャード・ニクソン、ヘンリー・キッシンジャー、ロナルド・レーガンといった歴代大統領や指導者の政策に沿ったものだと述べた。

 いずれも潜在的な敵対国と積極的に関与しながら、米軍の立場を強化することを目指したとし、トランプ政権が中国との関与を再び強めているのも同様との見方を示した。

 ただ、レーガン氏は1980年代、冷戦における米国の最大の敵だったソ連に対し、ゼロサム型の政策を打ち出した。レーガン氏はかつて側近に、イデオロギー闘争について「われわれが勝ち、彼らが負ける」と語った。ソ連は1991年、平和裏に崩壊した。

 現実主義政策は、政権が最新の2026会計年度国防予算要求で示した1兆5000億ドルの国防費にも表れているとコルビー氏は指摘。軍事的投資を通じ、地域での力の均衡を構築することを目指すと述べた。

 「これは、冷戦後の米国の地域政策で典型的だったように、他国のあらゆる行動を裁こうとするものではない」

 「私たちはもちろん、自らの原則を堅持し、それを支持し続ける。しかし、それらの原則のせいで、戦略的に極めて重要な課題の進展を停滞させるようなことはしない」

 これに対しては、現実主義政策と中国に対する限定的な拒否能力による防衛は、敗北主義に近いという批判もある。

 コルビー氏は、中国周辺での米軍増強は「戦略的安定」を追求する外交によって支えられると述べた。「戦略的安定」は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が5月に北京で行った首脳会談で、望ましい米中関係を表現するために使われた言葉だ。

 コルビー氏は先月、ポッドキャストのインタビューで、新政策には中国当局者と「礼節を持って話す」ことが含まれると述べ、第1次トランプ政権による対中政策について、中国での体制転換を目指していたと批判した。

 コルビー氏はニューヨーク・タイムズ紙に「われわれが第1列島線で実現しようとしているのは、どこかの国の体制を変えたり、占領して平定したりするようなことではない。島々に沿って海上・航空宇宙防衛を構築することが目的だ」と語った。

 だが第1次トランプ政権で、当時のマイク・ポンペオ国務長官は中国共産党政権の転覆を求めてはいなかった。むしろ2020年の演説で、米国は中国の人々と協力して中国共産党の行動を変えるべきだと述べた。

 中国は過去10年間、自国の共産主義体制を米国が尊重することを関係改善の前提条件としてきた。

 中国共産党は、米国が中国の特色あるマルクス・レーニン主義――資本主義への反対とナショナリズムを混ぜ合わせた中国の国家イデオロギー――を弱体化させようとしていると警戒している。

 新たな対中政策は、米国が中国の体制を転換させようとしているとの考えを中国指導部から払拭しようとしているようだ。

 コルビー氏は10日の演説で、米国は「末期的な衰退」に向かっているという中国側のプロパガンダを否定しようとしたが、それが中国によるものだとは明言しなかった。

 世界での米国の経済、軍事、技術的優位性は今も変わらないと述べた。

 また米国はアジアから撤退するのではなく、地域諸国に自国の防衛にもっと取り組むよう求めていると述べた。

 米国は、フィリピン、タイ、インドネシア、シンガポール、ベトナム、マレーシアなどの地域の主要国に、貿易などでの米国との関係を強化するよう促している。

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