
この記事の要点
- 全米退職保障研究所:年金の仮想通貨に77%が「高リスク」
- 401kでの提供に53%反対、政府推進策と温度差
米世論調査:年金×仮想通貨に警戒感強く
全米退職保障研究所(NIRS)は2026年8月26日、米国人の退職後の生活保障や資産形成に対する意識を調べた全米規模の世論調査の結果を公表しました。
なかでも退職資産への仮想通貨(暗号資産)の組み入れには慎重な回答が目立ち、職場の退職年金制度(401kなど)に加えることを77%が「リスクが高い」と評価し、うち46%は「非常にリスクが高い」と回答しています。
米連邦政府は2025年以降、退職年金で仮想通貨を含む代替資産へのアクセス拡大を後押ししており、今回の調査では政策の方向性とは異なる慎重な回答が多数を占めました。
調査は市場調査会社グリーンウォルド・リサーチが2025年10月24日から11月14日にかけて実施したもので、25歳以上の米国人1,203人から回答を得ています。
「解禁のタイミングが来た」
職場年金の仮想通貨導入、過半数が反対
仮想通貨の認知度も低く、抵抗感が優勢
NIRSの調査によると、雇用主が職場の401kプランで仮想通貨を投資選択肢として提供することに53%が反対し、賛成の26%を大きく上回っています。
回答の内訳では「強く反対」が33%を占めたのに対し、「強く賛成」はわずか6%で、退職資産を仮想通貨で運用することへの抵抗感の強さが示されました。
こうした意識の背景には仮想通貨への理解度の低さもあり、「聞いたことはあるが詳しくない」が47%を占め、「聞いたこともない」4%と合わせた過半数がなじみの薄い状態にあると回答しています。
「退職危機」回答80%、貯蓄も低水準
仮想通貨への慎重な姿勢に加え、退職後の生活そのものへの懸念も強く、回答者の80%が「米国は退職危機に直面している」と答えています。
この割合は2020年の67%から13ポイント上昇したほか、退職後の経済的安定を確保できないと懸念する人も同年の55%から61%へ増加しました。
退職に向けた資産形成も十分とはいえず、NIRSが2026年に公表した別の分析では、退職貯蓄の中央値がわずか955ドル(約15万円)にとどまることが示されています。
慎重指針撤回、トランプ大統領令も後押し
こうした国民の意識とは対照的に、米労働省(DOL)は2025年5月28日、退職年金での仮想通貨投資に「極度の注意」を求めていた2022年の指針を撤回しました。
その後、トランプ大統領も2025年8月7日、「401k投資家のための代替資産へのアクセス民主化」と題した大統領令に署名し、DOLに受託者責任に関する指針の再検討を指示しました。
政府が401kで仮想通貨を含む代替資産へのアクセス拡大を後押しする一方、NIRSの調査では仮想通貨の提供に53%が反対しており、政策の方向性と国民の意識には隔たりがあります。
社会保障の危機、給付2割減の可能性
こうした退職後の生活に対する懸念は公的な社会保障にも及んでおり、2026年の社会保障信託基金報告書では、退職給付の原資が2032年後半に枯渇すると予測されました。
議会がそれまでに対策を講じなければ退職給付は約78%に減ると見込まれており、NIRSの調査でも85%が退職保障をより高い優先課題とすべきだと回答しています。
制度面ではDOLが受託者責任に関する指針の再検討を求められており、401kで仮想通貨を含む代替資産をどのように扱うかについて検討が進められています。
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Source:NIRS調査レポート
サムネイル:AIによる生成画像

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