国立大学法人「福島大学」(福島市)を取材したYouTube番組への批判が広がった問題を巡り、福島県の内堀雅雄知事は9月7日、定例記者会見で「福島大と緊密に連携をしながら、復興と地方創生を前へと進めていく」と語った。
福島、いわき両市長が既にXで受け止めを発信し、文部科学相も会見で言及していた中、知事の反応は動画公開から1週間以上が経過してのものとなった。
経緯を振り返る
問題となっているのは、学歴・受験をテーマにしたYouTube番組「wakatte.tv」が8月28日に公開した動画(現在は非公開)。
出演者2人が福島大学の構内で学生にインタビューする内容で、おすすめの学部を尋ねられた学生の一人が「放射能(研究)は福島ならでは」と答えると、出演者の一人が「放射能とか原子力って、エネルギーで超重要な問題なわけですよ。福島大には触らせたくない」と発言した。
この場面がSNSで拡散し、YouTube番組に批判が殺到。
動画は8月31日に一時非公開となり、その後に「揶揄する意図はない」との注釈を付けて再公開されたが、出演者の一人が9月1日夕、Xに「配慮が不足していた」と投稿し、動画を削除したことを明かした。

福島大学のウェブサイトから
福島大、地元市長、文科相が反応
この番組に対し、福島大学は9月1日、佐野孝治学長の名前で声明を発表した。
「学生及び教育研究活動に関し、配慮を欠くと受け取られかねない発言があった」とし、教育・研究活動に真摯に取り組む学生・教職員が「尊厳を傷つけられることがあってはならない」との考えを示した。
また、地元自治体のトップからも早い段階で反応が示された。
福島市の馬場雄基市長は9月1日、Xに「東日本大震災と原子力災害、そして放射能に関する研究を揶揄するかのような表現については、見過ごすことはできない」と投稿。
いわき市の内田広之市長は9月2日、Xで「動画には率直にとても残念」「学生の皆さん、教職員の皆さんには、改めて、これまで積み重ねてきた研究と努力に誇りを持っていただきたい」と言及した。
また、松本洋平文部科学相も9月4日の記者会見で、「学生や教職員に対して尊厳を傷つけるような言動はあってはならないと考えている。大学の研究力については、偏差値を持って判断することは適切ではない」と苦言を呈した。

Keita Aimoto
知事「声明に思いを共有する」
こうした中、内堀知事は9月7日の定例記者会見で、「一連の報道と先週、福島大学から出された声明拝見しております」と説明した。
「原子力災害や環境放射能に関する研究は、福島の経験を科学的に検証し、その成果を国内外に還元していくための重要な研究活動である」とし、「この声明の思いを共有する」と語った。
また、県では福島大と包括連携協定を締結しており、「本県の復興と地方創生の推進などに貢献をしていただいている」と強調。
自身も特別授業などで学生や教職員と接してきたとし、「勉学や研究に真摯に取り組んでおられる皆さんの姿を拝見し、大変心強く感じている」と述べた。
このほか、記者から風化を防ぐ県の取り組みについて聞かれた内堀知事は、「国とも連携をしながら、福島の今を正確に国内外に発信する」と話した。
その上で、「風評を払拭するための一番の手段は、実際に多くの方々に福島の地に来て、見て、感じていただくことだと考えている」と訴えた。
なお、YouTube番組「wakatte.tv」は9月5日、「【お詫び】福島大学キャンパス調査の動画の件について謝罪させていただきます」と題する動画(8分16秒)を公開。
問題となった発言をした出演者が一人で登場し、「今回の私の発言、本当に酷い発言だったと、深く深く反省しています」などと謝罪している。

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