片山さつき財務相は、9月4日の閣議後記者会見で令和9年度予算の概算要求状況を説明した。会見では、米国のベッセント財務長官による日本の金融政策をめぐる発言についても質疑が及んだ。
令和9年度一般会計概算要求は約143.1兆円
片山氏は、各省庁からの要求を集計した結果、令和9年度の一般会計概算要求額は約143.1兆円となったと説明した。
単純な前年度比較ではなく令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の合計額(約141兆円)と比較すべきだとし、増加幅は約2.5兆円にとどまると説明。「大幅な増加との指摘は当たらない」と述べたうえで、租税特別措置や補助金の見直しを進め、施策の重点化を図る考えを示した。
このほか、行政改革推進会議での検討を踏まえ、基金について長期にわたり滞留する資金の発生防止や機動的な国庫返納の仕組みを整備するなど、資金活用の効率化に取り組む方針にも言及。「眠っている資金を生きた資金に変えていく」ことを目指すと述べた。新設の「強く豊かな日本投資枠」は、一般会計で約12.2兆円。GX・AI・半導体関連の特別会計分を含めると全体で約14.2兆円の要求となる。
新規国債発行額をめぐっては、高市首相が「来年度予算の発行額を40兆円程度に抑えたい」と発言したとされる点を問われた。片山氏は、この発言は令和7年度補正で税収増により発行額が前年度以下の40兆円程度に抑えられたという事実を指したものだと説明した。
「40兆円が目安なのか」と重ねて問われても、「それ以上でもそれ以下でもない」と繰り返すにとどめ、来年度予算の確定した数値目標とは位置付けなかった。そのうえで、当初・補正予算を通じた通年発行額を適切にコントロールしていく方針をあらためて示した。
長期金利上昇についての見解は?
長期金利が一時、約30年ぶりに3%台まで上昇した点を問われた片山氏は、「金利は様々な要因を背景にマーケットで決まるもの」として、具体的な水準への評価は避けた。
そのうえで、国債の発行主体として緊張感を持って動向を注視していると述べた。金利上昇の影響については、利払い費が増える一方で家計の金利収入は増えるなど、複数の要因が絡むとの一般論にとどめた。
また、国・地方の債務残高の対GDP比を安定的に引き下げることを財政運営の中核目標に掲げる「骨太の方針」について、日米協議やG20の場でも説明してきたとし、一定の理解を得ているとの認識を示した。
ベッセント財務長官のリフレ政策発言
米国のベッセント財務長官は9月1日のG20後会見で、日本側との会談内容として、英語で “stop the reflation” と述べたとされる。
記者からこの「stop」という表現をめぐり、事実上の要求ではないかと問われた片山氏は、一国の財務長官が他国の中央銀行の政策について「ああすべきだ」と要求することはないとの認識を示した。
財務省同士でも確認したとし、「一方的な政策の要求をしていないということでは両省は一致している」と述べた。
日米財務相会談についても言及
8月31日に行われた日米財務相会談について、片山氏は、財政の持続可能性を示すことの重要性を指摘するやり取りがあったとしつつ、全体としては良好な雰囲気だったと説明した。
「責任ある積極財政」のもとで成長と財政の持続可能性を両立させる方針を伝えたところ、前向きな反応があったといい、日銀の金融政策について具体的な要求を受けたことはないと重ねて強調した。
なお、ベッセント氏は前日の8月30日には日銀の植田総裁とも会談し、円安是正に向けた早期利上げへの期待を示したと報じられている。
翌日には、米CNBCのインタビューにも応じ、日本政府や日銀が円高につながる措置を取るとの見方を示している。

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