ロンドン(CNN) 約100万人を対象とした研究で、非常に熱いコーヒーや紅茶を飲むと食道がんのリスクが著しく高まる可能性を示唆する新たな証拠が明らかになった。
当該の研究は英国で実施され、8日に国際がんジャーナルに掲載された。それによると、これらの飲み物を温かい状態ではなく非常に熱い状態で飲むと、食道がんのリスクが3倍になるという。
この研究結果は、世界で最も一般的な食道がんである食道扁平上皮がん(SCC)に特に当てはまる。
食道は、食べ物や飲み物を口から胃へ運ぶ筋肉質の管。
世界保健機関(WHO)傘下のがん研究機関である国際がん研究機関(IARC)によると、2020年には世界中で約60万4000件の食道がんの新規症例が発生し、約54万4000人が食道がんで死亡した。IARCは、世界の新規症例数が40年までに50%以上増加し、年間100万件近くに達すると推計している。
英国がん研究センター(Cancer Research UK)によると、英国では毎年約9500件の新規症例が発生している。しかし英国オックスフォード大学の研究者らは、SCCの新規症例の約14%について、お茶やコーヒーを低温で飲むことで予防できる可能性があると、今回の研究で述べている。同種の研究として、今回の研究は過去最大規模となっている。
研究者らは英国の約98万人の中高年成人を対象に、温かい飲み物の摂取習慣に関する質問を行った。質問項目には、「非常に熱い」「熱い」「ぬるい」のどれを好むか、あるいは「温かい飲み物は飲まない」「回答しない」といった選択肢が含まれていた。
また、1日に何杯の温かい飲み物を飲むかについても質問し、「1日に6杯未満」または「1日に6杯以上」の選択肢を用意した。
参加者は全員、大規模コホート研究である「ミリオン・ウィメン・スタディ」と「UKバイオバンク」の参加者。両コホートとも参加者の健康情報を定期的に記録している。それぞれの平均追跡期間14.2年と11.1年の間に、両コホート全体で2348件の食道がんが発生した。
研究者らは、参加者の半数弱が1日に6杯以上の温かい飲み物を飲んでいると回答し、約15%が非常に熱い飲み物を好むと回答したことを明らかにした。
SCCのリスクは好みの飲み物の温度によって上昇し、熱い飲み物を好む人はぬるい飲み物を好む人に比べてがんのリスクがほぼ2倍だった。非常に熱い飲み物を好む人では、リスクは3倍を超えた。
飲み物の摂取量も影響していた。研究者らが温度の影響を調整した後、1日に6杯以上の熱い飲み物を飲む人は、6杯未満を飲む人に比べて、SCCのリスクが71%高いことが分かった。
「これはこれまでで最大規模の研究であり、非常に熱い飲み物や熱い飲み物を飲むことがこの種のがんのリスクを高める可能性があるという証拠をさらに裏付ける」。研究の筆頭著者でオックスフォード大学ナフィールド人口保健学部の上級栄養疫学者を務めるケレン・パピエ氏は9日、CNNにそう語った。
非常に熱い飲み物は、16年にIARCによってヒトに対しておそらく発がん性があると分類された。IARCは「非常に熱い」飲み物を65度以上の温度と定義している。
しかし、これまでの研究は主に南米、アジア、中東で行われており、これらの地域では飲み物文化がやや異なるとパピエ氏は指摘する。
例えば、英国では熱い飲み物に牛乳を加える人が多いが、研究者らは飲み物が熱い状態であれば、牛乳を加えたかどうかによってがんのリスクは変化しないことを突き止めた。
今回の研究結果にもかかわらず、食道がんの診断を受ける確率は依然として比較的低い。英国がん研究センターによると、食道がんは英国におけるがん症例全体のわずか2%を占めるに過ぎず、生涯で食道がんと診断されるリスクは約1%となっている。米国国立がん研究所(NCI)によると、米国では今年、食道がんが新規がん症例の中で占めた割合はわずか1.1%と推定される。
ただ、「熱い飲み物が好きで、今回の研究結果を心配している人には、飲み物を冷ますという簡単な方法がある」とパピエ氏は指摘。飲み物を冷ますには、しばらく置いておく、牛乳や冷水を加える、息を吹きかける、少しずつ飲むなどの方法があると付け加えた。
「熱い飲み物が食道の内壁細胞を損傷し、炎症を引き起こすことがあると先行研究で証明されているため、今回の研究結果はそれなりに説明がつく」と、英国クアドラム研究所の名誉研究員で上皮生理学者のイアン・ジョンソン氏は9日、CNNへの電子メールでそう語った。同氏は今回の研究には関与していない。
「私はこの研究結果を額面通りに受け止め、熱い飲み物よりも冷ました飲み物(65度未満)を飲む方が賢明だと結論づけたい」とジョンソン氏。「一見単純な話だが、熱い飲み物を好む人がそう簡単に習慣を変えられるかどうかは別の問題だ」と続けた。
とはいえ研究者たちは、参加者が飲んだ飲み物の正確な温度を調べることはできなかった。参加者によって熱さの感じ方が異なる可能性があるため、自己申告による熱さのレベルが具体的な温度と一致していたかどうかを判断することはできていない。

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