栄養表示が「ほぼ同じ」2つの食事を食べ比べ
栄養表示が「ほぼ同じ」2つの食事を食べ比べ / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部研究チームは、「栄養」と「加工」の影響を切り分けるため、18〜45歳の健康な大人57人を集めました。
このうち32人が、体のエネルギーの使い方を測る検査と、脳の働きを調べる検査の両方を最後まで受けています。
食べてもらったのは、どちらも300キロカロリーの2種類の食事です。
1つは超加工食品の食事、もう1つは加工の少ない食品の食事で、国際的な食品の分け方「NOVA分類」に沿って区別されました。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(超加工食品は「少量の摂取」でも疾患リスクを高めていた)
2つの食事は、カロリー、炭水化物、脂質、たんぱく質、食物繊維、水分、塩分の差がすべて1%以内にそろえられていました。
研究を率いた筆頭著者は「もし栄養成分表示があれば、事実上まったく同じになる」と話しています。
参加者は前の晩から何も食べずに来て、少なくとも3日あけて、2つの食事をそれぞれ食べました。
食事は「代謝室(全身で使ったエネルギーや呼吸のガスの出入りを記録する密閉された部屋)」の中で、10分以内に食べてもらいました。
食べた直後から3時間のあいだには、計7回の採血も行われました。
さらに別の検査では、脳の働きを画像で見るfMRIという装置に入り、食べ物の写真を見ながら「いくらなら払うか」を考えてもらいました。
では、ラベルの上では「同じ」食事を食べた体と脳は、本当に同じように反応したのでしょうか。
体と脳は「加工の違い」をどう受け止めたのか?
体と脳は「加工の違い」をどう受け止めたのか? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部結果は、食べてすぐに分かれました。
筆頭著者は「体のエネルギーの使い方に関わる指標が、1つ残らず違っていたことに驚いた」と振り返っています。
超加工食品の食事では、加工の少ない食事に比べて、インスリン(血糖値を下げるホルモン)がはっきり大きく上がりました。
血糖値も、少し高い状態が少し長く続いていました。
また、超加工食品の食事では、食べ物を処理するのに全身で使うエネルギーは多かったものの、燃料として燃やした炭水化物の量ははっきり少なくなっていました。
つまり、栄養の中身がほぼ同じでも、加工の度合いによって体が食べ物を扱うやり方が変わっていたのです。
研究チームが次に注目したのは、脳でした。
食べたあとの栄養の情報は、腸と脳をつなぐ連絡の道すじを通じて、たえず脳に伝えられているからです。
fMRIで調べると、食べ物の写真を見て値段を考えているとき、脳の「腹側線条体(ふくそくせんじょうたい)」と「側坐核(そくざかく)」という部分の働き方に違いが出ていました。
どちらも、ごほうびを感じたり、経験から学んだり、何かを欲しくなったりすることに関わる脳の「報酬系」の要となる場所です。
しかも、これらの部分の反応がどれだけ違うかは、超加工食品を食べたあとに炭水化物の燃やし方がどれだけ変わったかから予測できました。
一方で参加者自身は、超加工食品に「もっとお金を払いたい」とは答えていませんでした。
それでも脳のごほうびの回路は、本人が意識しないところで体の反応の違いを受け止めていたと考えられています。
超加工食品と体調の悪さのつながりが、栄養の中身によるものか加工によるものかは、これまで研究者のあいだで大きな論点でした。
NOVA分類を作ったブラジル・サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授は、「食べる行動を最終的に決めるのは脳であり、新しく重要な成果だ」とコメントしています。
ただし、今回分かったのは、健康な大人が1回の食事を食べたあとの反応の違いです。それが長い目で見て病気につながるかどうかまでは示されていません。
食べ物が体に与える影響は、栄養成分表示の数字だけでは決まらないのかもしれません。
同じ数字が並ぶラベルの裏で、私たちの体と脳は「どう作られたか」まで感じ取っている可能性があるのです。







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