暗号資産「税率は下がるが計算は複雑に」分離課税の実務課題|BCCC議論

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この記事の要点

  • BCCC税制部会が分離課税の計算負担増を指摘
  • DeFi・ガス代の実務課題を省庁に提言へ

まずは申告分離課税を詳しく

暗号資産の申告分離課税に実務課題

一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)は2026年10月6日、Xスペース「BCCC Blockchain Lounge」の第4回を開催し、税制部会の部会長・八木橋泰仁氏(税理士法人ファシオ・コンサルティング代表)と副部会長・村上裕一氏(公認会計士・税理士)が、暗号資産税制の実務課題について議論しました。

討論では、暗号資産の申告分離課税(税率20.315%)が2028年1月にも適用される見通しとなるなか、税率の引き下げとは別に、損益計算の負担が増える可能性が課題として挙げられています。

分離課税の導入後は、すべての暗号資産取引が同じ課税区分になるわけではなく、取引内容によって異なる扱いが求められることが、実務負担を増やす要因として指摘されています。

こうした計算負担はステーブルコインの日常利用にも及ぶ可能性があり、送金時に発生する少額のガス代までどこまで厳密に処理するのかが、制度普及に向けた実務上の論点として取り上げられました。

DeFi・ガス代まで及ぶ計算の壁

売買益とステーキングで課税が二分

八木橋氏は申告分離課税の対象について、財務省が公表した令和8年度税制改正大綱では、「特定暗号資産」の譲渡等による所得を他の所得と分離し、所得税15%・住民税5%で課税するとともに、一定の要件で3年間の損失繰越控除を認める方針が示されていると説明しました。

一方、ステーキングやマイニングで得た収入は売買による所得とは扱いが異なり、雑所得として総合課税に区分される見通しだと同氏は述べています。

このため村上氏は、国内取引所での売買益だけでなく、ステーキング・レンディング収入、海外取引所やDEX(分散型取引所)での売買などについても、所得がどこで生じたのかを取引ごとに分けて把握する必要があると指摘しました。

同氏は、これまで雑所得としてまとめていた取引を複数の課税区分に振り分ける作業が加わることで、申告時の税率計算よりも、その前段階となる損益整理の負担が大きくなるとの見方を示しています。

DeFi取引は自動計算で処理しきれず

取引区分が細分化されるなか、村上氏はDeFi(分散型金融)のウォレット取引について、既存の損益計算ツールだけでは処理しきれないケースがあり、実務では手作業が相当量残っていると説明しました。

DeFiでは、ウォレットへの入出金やトークン交換に加え、利用者が意図していないトークンが送付される場合もあるため、取引履歴を自動的に分類するだけでは正確な損益計算が難しいと同氏は述べています。

こうした計算には投資開始年度からの取引履歴も必要となり、取引所の閉鎖やログイン不能によって過去データを取得できない場合、取得価額などを確認できなくなる問題も生じています。

八木橋氏は、自身が創業に携わった暗号資産損益計算ツール「CryptoLinC(クリプトリンク)」について、税制変更にも対応できるよう準備していると説明しており、新制度への移行では損益計算ツール側の更新も必要になるとの認識を示しました。

ガス代計算が日本円SC普及の障壁に

損益計算の負担は複雑なDeFi取引だけでなく、日常的なステーブルコイン利用にも及ぶとして、八木橋氏は送金時に発生するガス代を例に挙げました。

同氏は、少額の手数料についても一取引ごとに所得計算を求めるのか、一定の簡略化を認めるのかが検討課題になるとの認識を示しています。

海外ではガス代の損益計算をほとんど意識せずにステーブルコインを利用できる環境もあるとして、日本円建てステーブルコインだけ利用時の負担が大きければ、普及面で不利になる可能性があると同氏は懸念しています。

こうした実務負担は個人利用に限らず、法人が暗号資産を保有する場合にも生じており、村上氏は監査法人での経験を踏まえ、対象ウォレットの管理状況や秘密鍵の保有、ウォレット内資産の実在性を確認する作業に時間と費用がかかると説明しました。

分離課税の実務課題を省庁に提言へ

日本では2026年7月15日、暗号資産に関する制度整備を盛り込んだ金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律が成立しています。

申告分離課税については令和8年度税制改正大綱で、改正金商法の施行年の翌年1月1日以降に適用する方針が示されました。

改正法の施行時期を踏まえると、2028年1月の適用開始が有力とみられており、制度の大枠が固まりつつある一方、実際の申告や利用場面に関わる細部は今後の整理に委ねられています。

BCCCは税制部会の発足時に公表した活動方針で、暗号資産・ステーブルコイン・DeFiの税務課題を整理して関係省庁などに提言する方針を掲げており、八木橋氏も会員企業などから意見を集めながら3〜4か月に1回程度の情報提供や意見交換の機会を設けたいと述べました。

討論の終盤では、こうした実務上の課題を金融庁の窓口に届ける考えも示されており、税制部会は会員企業などから寄せられる意見を今後の政策提言に反映していく方針です。

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Source:BCCC Xスペース
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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