時間結晶が“半分溶けた”新状態「時間液体」が提唱された

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結晶・液体・気体は、粒の「そろい方」が違う

半分溶けた時間結晶半分溶けた時間結晶 / 左右とも、矢印は磁石の集団の向きで、時間は左から右へ進みます。右の枠のオレンジの帯がつまずいた瞬間です。動く図では、拍が来た矢印から順に一瞬ふくらみ、右の枠では帯のところだけ波が一拍とびます。/ Credit:川勝康弘

冷凍庫から出した氷は、コップの中でゆっくり水に変わっていきます。

誰もが見たことのあるこの変化の中で、いったい何が失われているのか?

手がかりは、氷と水と水蒸気で、分子の並び方がどう違うかにあります。

氷のような結晶は、原子や分子といった小さな粒が、同じ間隔でずらりと並んでできています。

雪の結晶も、塩の粒も、宝石の水晶も、中をのぞけば同じつくりです。

しかもその並びは、どこまでもくり返されています。

結晶は、粒の並びのくり返し結晶は、粒の並びのくり返し / 左は身近な結晶の外形、右はその中身を拡大した模式図です。右の粒はその場で小さく震えるだけで、隣と位置を入れ替えることはありません。/ Credit:川勝康弘

同じ水でも、氷のときは分子がきっちり並び、その場で小さく揺れているだけです。

温めて水になると、分子は寄り添ったまま動き回るようになり、並びはくずれます。

さらに温めて水蒸気になると、分子は離れ離れになり、ばらばらに飛び回ります。

氷・水・水蒸気の粒氷・水・水蒸気の粒 / 同じ水分子を、3つの状態で描き分けています。左の粒は震えるだけ、中央の粒はゆっくり場所を変え、右の粒は灰色の線を引きながら速く枠を横切ります。下のオレンジの矢印は、温度が上がる向きです。/ Credit:川勝康弘

この三つの違いは、「近く」と「遠く」に分けて眺めるとはっきりします。

氷では、隣どうしの間隔がそろっているうえに、ずっと遠くの分子まで同じ並びが続いています。

1個の分子の位置がわかれば、遠く離れた分子の位置まで言い当てられるほどです。

水になると、隣どうしの間隔はほぼ保たれますが、遠くの分子とのそろいは失われます。

水蒸気では、隣どうしの間隔さえそろいません。

「近く」と「遠く」で見た規則正しさ「近く」と「遠く」で見た規則正しさ / 上の3つの枠は、ひとつ前の図の粒を小さく描き直したものです。下の表は丸が「そろう」、灰色のバツが「そろわない」で、左の列から右の列へ進むほど、丸が一つずつ減っていきます。/ Credit:川勝康弘

つまり「溶ける」とは、近くのそろいを残したまま、遠くまで続くそろいだけを手放すことなのです。

液体は、いわば「ご近所づきあいだけが残った結晶」です。

では、この「近く」と「遠く」の物差しは、物の並びだけに使えるものなのでしょうか。

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