日本人男性の約2人に1人はEDの可能性。治療薬「シアリス」が市販化へ。「ジョーク」から健康課題への意識変革目指す【エスエス製薬】

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エスエス製薬は7月31日から、ED(勃起不全・勃起障害)治療薬「シアリス」をOTC医薬品(要指導医薬品)として順次販売開始する。市販薬としてED治療薬が認められるのは国内初となる。

これまで医療用医薬品としてのみ使用されてきたED治療薬だが、OTC要指導医薬品として、チェックシートを記入し、その結果を薬剤師に提示することで、購入が可能になる。

ED治療薬「シアリス」とは

ED治療薬「シアリス」は、性的刺激があった時だけ勃起や勃起の維持をサポートする薬。精力剤や性欲増進を目的とした製品ではない。

効果は服用約30分後から現れ、最大36時間持続(ずっと勃起しているのではなく、性的刺激があった時だけ)するのが特徴。

使用するには成人男性(18歳以上)である必要があり、性行為の約1時間前に1回1錠、水かぬるま湯で服用をする。1日1錠を超えて服用しない、また服用間隔は24時間以上あける必要がある。

チェックリストはLINEからもアクセスできる
チェックリストはLINEからもアクセスできる

Huffpost Japan

エスエス製薬によると、医療用医薬品のシアリス錠は、これまで100カ国以上で医師の診療・処方のもと使用され、日本国内における使用実績は今年で20年目を迎えているという。

日本人男性の約2人に1人がEDの可能性

同社は、「シアリス」の発売発表とともに、日本におけるEDの実態や認識、行動傾向を調査した「ED白書」の内容を公開した。

日本の20歳〜69歳の男女計5000人と、海外20歳〜69歳の男女計5000人を対象に行われた調査では、日本人男性の約2人に1人がEDの可能性(軽度を含む)があるのに対し、自身がEDだと自覚していない層が一定数いることが分かった。

陰茎が大きくならない「グレード0」でも「EDだと思ったことはない」と答えた層も
陰茎が大きくならない「グレード0」でも「EDだと思ったことはない」と答えた層も

エスエス製薬

調査ではまた、EDを相談することの心理的ハードルの高さも明らかになった。EDを自覚した際「知られたくない」という意識が強く、誰かに相談した経験がある日本人男性は約2割。さらに医師へ相談・受診をした男性は15.7%にとどまっており、アメリカの33.8%と比較して半分以下となった。

また、20代男性の35.4%がEDについて他者に茶化された経験があると回答しており、今の日本はED自覚者にとって相談しにくい環境にあることが分かる。

EDを改善するためにしたこと
EDを改善するためにしたこと

エスエス製薬

EDというと中高年層の疾患というイメージを持つ人も多いが、一般社団法人 日本性機能学会「性機能障害の全国実態調査」によると、20〜24歳の有病率は26.6%で、50〜54歳の27.8%とほぼ変わらない結果となり、近年では若年層におけるEDが多いことが確認されている。

『ED』はジョークではなく、健康課題

6月10日に行われた新製品発表会で、エスエス製薬代表取締役社長の元島陽子氏は「EDは社会全体に影響をもたらしています」とその影響の幅広さに言及。

「身体への影響だけではなく、自信がなくなった、自己肯定感が低くなったという心の部分にも影響しています。そうすると社会から孤立します」

それでも相談できないのは、そこまでに様々な壁が存在するからだとし、単純に『シアリス』をOTC化するだけではなく、「3つの領域」でこの問題に挑戦していくと説明した。

1つ目はOTC化による正規品へのアクセス。処方箋としてこれまでも展開されていたものの、それではハードルが高く、海外からの個人輸入などに頼っていた人も多く、偽造品による健康被害の報告もあった。OTC化によって、正規品へのアクセスができるようになる。

2つ目は薬剤師による責任ある販売体制。薬剤師へのトレーニング、購入制限の設定や転売対策、製品のトレーサビリティなどを設定することで、安心して購入できる体制を実現する。

3つ目はEDへの偏見・社会意識変革。元島氏はEDについて「社会への影響、社会からの影響がとても大きい」と再び強調し、「話しづらい」状況に対して「本当だったら、風邪をひいたり、アレルギーで辛いのと同じように、普通に誰かに話せて会話ができるような領域であるべき」と指摘。

こうした状況を改善すべく、EDに関する正しい理解の普及を目的とした「EnD The joke」プロジェクトを製品の発売発表とともに始動した。

EDを「ジョーク」として片付けず、男性であれば誰にでも起こり得る、対処可能な「健康課題」として受け入れられる社会の実現を目指していく。

啓発プロジェクト「EnD the joke」が始動
啓発プロジェクト「EnD the joke」が始動

エスエス製薬

スピードOTC化実現の背景

エスエス製薬が5月20日、ED治療薬のOTC医薬品としての製造販売承認を取得したことを発表すると、ネットでは様々な声が寄せられた。

その中の1つが、長期間OTC化が承認されなかった緊急避妊薬「ノルレボ」と比較し、「緊急避妊ピルは何年もかかったのに」など、スピード感の違いを疑問視する声だ。

医療関係者や一般の人たちが、長年声をあげ続け、2023年に11月に試験販売が開始し、2026年2月からようやく多くの薬局で入手できるようになった緊急避妊薬

2016年に評価検討会議にスイッチOTC化に係る要望書が提出されたことから検討が始まり、2017年に募集されたパブリックコメントでは、賛成320件、反対28件と、賛成意見が大多数だったものの、性教育の遅れや悪用・乱用への懸念などを理由にOTC化は見送られていた。

日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)。避妊に失敗したり、避妊できなかったりした時に妊娠を防止するための医薬品
日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)。避妊に失敗したり、避妊できなかったりした時に妊娠を防止するための医薬品

第一三共ヘルスケア

一方、シアリスのOTC化へ向けてのパブリックコメントの募集が始まったのは2024年11月。その後、2025年5月に評価検討会議が実施され、9月の薬事審議会でOTC化(要指導医薬品)が承認された。

2つの製品がOTC化にかかった期間の違いに対する声に、元島氏は「そう思う気持ちもわかります」と共感を示した。

一方で、2024年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」によって、OTC化の加速が推進されたため、「今後は女性のものも含め、すべての領域における薬のOTC化が早くなると思います」と説明した。

2024年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」では、スイッチOTC化やセルフメディケーションの推進が言及されており、海外2か国以上でスイッチOTC化されている成分については、原則3年以内に日本でもスイッチOTC化すること、そしてスイッチOTC化の要望・申請がされるものについては、承認申請から承認の可否判断までの総期間を1年以内に設定することが盛り込まれた

今後の展開は

スイッチOTC化の推進が進む中、エスエス製薬は今後どのような領域への展開を考えているのか。

元島社長は、今後も多くの人の不調を治すという信念のもと、ウーマンヘルスとエイジングに力を入れていきたいという。

「高齢化社会はどこにも行きません。そこに付随される色々な疾患に対して、日々できることへの領域っていうのを私は大事だと思っています」

『シアリス』は7月31日からイオングループなどで先行発売、8月31日から全国発売予定。1箱4錠(4回分)入りで 5808円(税込)で販売される。

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