
2021年2月3日、世界保健機関(WHO)のチームが中国湖北省武漢市の武漢ウイルス研究所を視察するために到着した後、警備員がジャーナリストたちを研究所から遠ざけている。(AP通信/ン・ハン・グアン撮影)
By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, June 19, 2026
米国家情報長官室(ODNI)は、新たに公開した文書で、新型コロナウイルスが発生した可能性が高い中国の武漢ウイルス研究所に対し、元政府感染症対策トップのアンソニー・ファウチ氏が米国の公的資金数百万ドルを提供していたと指摘した。
トゥルシー・ギャバード国家情報長官は声明で、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は数多くの米国人に甚大な苦痛をもたらしたが、今回の文書公開は長年続いてきた「虚偽、検閲、隠蔽」の実態を明らかにするものだと語った。
「真実を隠すために用いられた手法は、ディープステートの常套手段そのものだ。ファウチ博士のような政治的思惑に影響された利己的な指導者たちは、自らの不正行為や権力乱用を隠蔽し、情報機関を操作し、議会に虚偽の説明を行い、正当に選出された大統領が国家を守るために必要な重要情報にアクセスするのを妨げた。米国民が真相を知る時が来た」
18日に公開された機密解除文書の多くは黒く塗りつぶされているが、新型コロナが武漢ウイルス研究所から流出したのか、それとも武漢で感染した動物由来なのかを巡って連邦当局者や情報分析官の間で行われた内部論争の新たな詳細が明らかになった。
ODNIは声明で、これらの文書はファウチ氏が情報機関内の「政治的キャリア官僚」と協力し、パンデミックの発生源が武漢ウイルス研究所であるという「真実」を抑え込んでいたことを示していると主張した。
また、文書はファウチ氏が中国での危険なウイルス研究への米国からの資金提供を主導していたことも示しているという。
声明は「これらの文書は、ファウチ氏が新型コロナを巡る情報機関の評価にいかに直接影響を及ぼし、操作したかを明らかにしている。また同氏は2024年に議会で、ウイルス研究に関する情報当局者との協議に参加しておらず、協議の存在も知らなかったと虚偽の証言を行った」としている。
ファウチ氏はコメント要請に直ちには応じなかった。
上院公聴会で中国のウイルス学者との協力関係を否定したファウチ氏と激しく対立したランド・ポール上院議員(共和党、ケンタッキー州)は、今回の文書公開を歓迎した。ポール氏は、ファウチ氏による虚偽説明を巡り、これまで何度も司法省に刑事訴追を求めてきたことを明らかにした。
ポール氏はSNSへの投稿で、「今回の公開文書には、研究所流出説の真実や、ファウチ氏が宣誓下で議会に虚偽説明を行ったことを示す追加資料が含まれている」と語った。
ジョー・バイデン前大統領は2025年1月20日の退任数時間前に、ファウチ氏に恩赦を与えた。
2021年6月に行われた中央情報局(CIA)のファウチ氏へのブリーフィングに関して文書は、同氏がセンザンコウ由来のコロナウイルス研究を行っていた武漢ウイルス研究所の活動に強い関心を示していたことが記されている。ファウチ氏は情報当局の調査担当者に対し、「ウイルスの特徴が自然発生説と整合すると判断している」科学者に接触するよう提案した。
公開文書には、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長だったファウチ氏が、武漢ウイルス研究所での危険な機能獲得研究に米国は資金提供していないと議会で証言したことについて、情報機関の内部告発者が「議会をミスリードした」と非難した内容も含まれている。
文書はさらに、政府当局者と米国の科学者らが連携し、遺伝子操作されたウイルスが武漢ウイルス研究所から流出してパンデミックを引き起こしたとの報告や評価を隠蔽しようとしていたことも示している。
パンデミックでは米国内で約120万人、世界で推計700万人が死亡した。
2018年の国務省公電の一つには、国立衛生研究所(NIH)が中国国家自然科学基金委員会(NSFC)とともに、「武漢ウイルス研究所の石正麗氏と崔傑氏によるSARS(重症急性呼吸器症候群)研究の主要資金提供者」だったと記されている。
SARSウイルスは、新型コロナウイルスと科学的に近い。石氏は武漢ウイルス研究所でコウモリ由来コロナウイルス研究の中心人物だった。
研究所流出説を支持する文書には、2020年5月にカリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所の特別情報分析部門がまとめた報告書がある。
この報告書は、「ヒト細胞受容体を認識するよう適応させた研究所改変型コロナウイルスが偶発的に流出するための条件が、2019年半ばから後半にかけて中国の武漢ウイルス研究所に全て存在していた」と結論付けた。
その条件には、新型コロナウイルスと「高い遺伝的類似性」を持つ前駆ウイルスの存在、コウモリ由来コロナウイルスの遺伝子改変研究、人に疾病を引き起こすウイルス実験、偶発的または過失によるコロナウイルス試料の流出リスクが含まれていた。
今回の文書公開は、昨年12月に成立した2026会計年度国防権限法の規定に基づいて行われた。
文書には、ウイルス起源に関する分析が意図的にゆがめられたと報告したことで報復を受けたと訴える複数の情報機関内部告発者の証言が取り入れられた。
ODNIは、研究所起源説を隠蔽するための活動には、異論を抑圧し、批判者を黙らせ、証拠を封印するという「明確なパターン」が存在し、それは情報評価の公正性を損ない、「米国民の利益に反するものだった」と指摘した。
声明によると、2019年末に始まったパンデミックの期間中、ファウチ氏は情報分析官らと緊密な関係を築き、ウイルス起源に関する情報統制で重要な役割を果たしたという。
また、同氏は「巨大製薬企業と結び付いた」リスクの高いコウモリウイルス研究に資金を提供し、数兆ドル規模の市場価値が見込まれる万能ワクチン開発を追求していたとされる。
さらに同氏は舞台裏の助言者として行動し、専門家を選別して自然発生説を支持するよう情報機関に働き掛け、中国での危険な研究を隠蔽したとODNIは主張している。
文書は「パンデミック期間を通じて、ファウチ氏と、情報機関内の政治的思惑に影響された指導部は、自分たちに都合のよい見解を互いに引用し合うことで、あたかもそれが客観的に裏付けられた事実であるかのように見せる情報の循環構造をつくった」と指摘。「その情報は公式の情報評価を形成し、その後、研究所流出説を否定するための科学的コンセンサスとして公に利用された」という。
またファウチ氏は、ODNIが「不正」と位置付ける医学論文を推奨し、その論文は情報評価の主要な根拠として用いられたという。
情報機関幹部は、研究所流出説を支持する分析官に対し、その見解を維持すれば昇進の機会を失うと脅していたとされる。
文書は「メッセージは明確だった。操作された結論に異議を唱えれば、キャリアは終わるということだ」と強調、内部告発者は「威圧的な雰囲気」によって沈黙させられたと指摘した。
今年4月には、NIHでファウチ氏の上級顧問を務めたデービッド・モレンズ氏が、ウイルス起源に関する電子メールを隠蔽したとして、連邦記録保存法違反などの罪で起訴された。
公開された文書には、2022年1月12日付のワシントン・タイムズ紙の記事に対する情報当局者の反応も含まれていた。記事では、国防高等研究計画局(DARPA)で勤務した元海兵隊少佐ジョセフ・マーフィー氏が、新型コロナウイルスを調査した結果、武漢ウイルス研究所で行われたワクチン研究から生み出されたとの結論に達したとする覚書を紹介していた。
マーフィー氏は国防総省監察総監に対し、新型コロナウイルスは、非政府組織エコヘルス・アライアンス、NIH、武漢ウイルス研究所が、国防総省への研究助成申請書に記載された機能獲得研究を通じて作り出したと考えていると報告していた。
マーフィー氏は2021年8月13日付の覚書で、「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)は米国が作り出した組み換え型コウモリワクチン、もしくはその前駆ウイルスである。それは研究所流出説を巡る報道が示唆するように、武漢ウイルス研究所におけるエコヘルス・アライアンスの計画によって作られたものだ」と記した。

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