母乳が出るだけでは哺乳類にはなれない
母乳が出るだけでは哺乳類にはなれない / Credit:Canva哺乳類といえば、母親が乳を出して子を育てる動物です。
けれども、乳を出す母親がいるだけでは、授乳は成り立ちません。
飲む側の赤ちゃんにも、乳を吸い、むせずに飲み込むための専用の装置が要るからです。
大人になった私たちが逆さまの姿勢でストローから飲み物を飲めるのも、同じ装置のおかげです。
装置の中心は、口の天井の奥にある柔らかい部分(軟口蓋)です。
ここはハンモックのように、左右からロープで引っぱられてピンと張っています。
ロープは筋肉(口蓋帆張筋)で、口の奥の左右にあるフック状の小さな突起(翼突鉤)に引っかけてあります。
赤ちゃんは、この張った天井に舌を押し当てて乳を吸います。
たるんでいては、舌の力が逃げてうまく吸えません。
飲み込むときは、喉の壁が引き寄せられて鼻への通り道にふたをし、喉がすぼまって乳を食道へ送ります。
この連携が崩れると、乳は鼻や息の通り道(気管)へ入ってしまいます。
喉の筋肉の付け根になるのは、フックのそばにある「喉の天井の骨」と、舌の付け根の骨組み(舌骨)です。
筋肉も軟口蓋も、死ねばすぐに腐って消えてしまいます。
けれども、ロープを掛けるフックは骨なので残ります。
フックの位置や形から、そこに掛かっていた筋肉を逆算できるのです。
問題は、どの骨もごく小さく壊れやすく、化石にめったに残らないことでした。
乳を吸う喉がいつ生まれたのかは、シカゴ大学の羅哲西(Zhe-Xi Luo)氏によれば科学者たちが何十年も知りたがってきた謎でした。
では、今の哺乳類が栄えるよりはるか昔の動物の口の奥にも、このフックはあったのでしょうか。
そしてフックがあったとして、それは今の哺乳類と同じ場所に、同じ形で付いていたのでしょうか?






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