女性アスリートを性的な対象として扱うような映像が問題になる中、ヨーロッパ放送連合(EBU)は6月11日、女子陸上競技の新たな報道ガイドラインを発表した。
このガイドラインは女性アスリートを性的対象であるかのように描く映像を防ぐことを目的に、ヨーロッパ陸上競技連盟や選手と協力して作られた。
不適切な撮影方法を示したイラストに「×」マークが付けられ、どのような映像が問題になるのかがビジュアルでわかるようになっている。
EBUスポーツのエグゼクティブ・ディレクターを務めるグレン・キレーン氏によると、女性アスリートを性的に描く演出は、スポーツ中継の深刻な問題となっている。
キレーン氏は具体例として、身体の一部を必要以上に映し続ける、低い位置から撮影する、技術や競技展開に全く関係ないスローモーションの再生映像を何度も流すなどをガイドラインの中で挙げている。
性的な切り取り方をされた中継映像が、オンライン上で拡散する被害も起きている。
ガイドライン作成に協力した棒高跳びの五輪メダリスト、ホリー・ブラッドショー氏は「私自身も、SNS上で中傷されたり、自分や他の選手の映像が不適切な形でオンラインに投稿されているのを目にしてきました」とコメントしている。
「性的に見えるような映像を撮影されるかもしれない」という不安は、競技集中への妨げにもなっているという。
「アスリートは、中継映像のことを不安に感じたり、不快な思いをしたりせずに、競技を思う存分楽しみたいのです。しかし私を含め多くの選手が、競技中に自分のパフォーマンスよりもカメラの位置を気にしてしまうような状況を経験しています」とブラッドショー氏は述べている。
走り幅跳びの五輪メダリスト、イヴァナ・シュパノヴィッチ選手も「特定のカメラアングルとジェンダーの固定観念が一緒になり、選手に不快感を与え、競技に集中できないような状況を生じさせています。そのような中継のあり方は、選手のメンタルヘルスに深刻で長期的な影響を及ぼす可能性もあります」と語っている。
EBUスポーツのキレーン氏は、今回のガイドラインを「重要な前進」と評価。「女子陸上競技の中継は、選手の技術と人の心を動かすストーリー性を伝えるものでなければならないという明確な基準を示しています」とコメントしている。
女性アスリートの性的画像や映像は長年問題で、盗撮などの被害も起きている。
問題に対処するため、選手が着用するユニフォームの選択肢を増やす動きもある。
ドイツの体操チームは2021年、レオタードではなく、足全体を覆うユニタードを着用して注目を集めた。
日本の杉原愛子選手は、このユニタードにインスピレーションを得て、ショート丈のユニフォーム「アイタード」を作っている。
今回のガイドラインは、選手側だけに対策を求めるのではなく、統括団体や映像制作側の責任を示すものになった。

2 時間前
1





English (US) ·
Japanese (JP) ·