
陸軍が重要な任務にロボットや自律システムを活用する際に、どのような考え方が適切でしょうか?(写真提供:TSViPhoto、Shutterstock経由)
By John T. Seward – The Washington Times – Monday, August 24, 2026
米国防総省は「AIファースト」の考え方を取り入れ、新たな人工知能(AI)ツールの開発を進めている。しかし、専門家は、軍で幅広く利用するにはなお障壁があると警告している。
国防総省は今年、AI戦略に多くの資源を投入し、軍全体でAIによって「従来の概念を練り直す」取り組みを推進する方針を示している。
軍幹部がAIの活用に意欲を示す一方、AI研究を専門とする非営利シンクタンク、GovAIの研究員ジェイク・ステックラー氏は、AIを巡る試験・評価の基準を現代化しなければ、兵士の命が危険にさらされる恐れがあると警告する。
ステックラー氏はインタビューで「リスクが生じるのは、基本的にこうした技術が非常に新しいからだ述べた。何らかの危険な問題が起きれば、その後は、AIを使いたくないということになってしまう」と述べた。
AIツールは、動作の一貫性に問題がある場合もあると専門家は指摘する。AIを搭載したシステムは、周囲の環境や使用するデータがほんの少し変わっただけでも、異なる回答や判断を示すことがあるという。ステックラー氏は、こうした問題を扱った主要な報告書を最近、カーネギー国際平和基金から発表している。
AIはすでに現在の軍事作戦で重要な役割を果たしている。フロリダ州に拠点を置く防衛技術企業パランティアの「メイブン・スマート・システム」は、最先端のAIモデルを含む複数のAI技術を利用している。メイブンはイランへの攻撃にも関与し、戦争開始から1カ月余りの間に1万3000以上の標的を特定する作業を支援した。
一方、主要なAI企業の中には、自社製品を軍がどのように使用できるかについて制限を設けることを求める企業もある。例えば、国防総省とカリフォルニア州に拠点を置くAI企業アンソロピックは、同社が開発した最も高性能な大規模言語モデルを無制限に使用することを軍が求めたことで、大きな対立に発展している。
アンソロピックが拒否すると、トランプ政権は同社製品の使用を禁止し、同社を国家安全保障上のサプライチェーン(供給網)リスクに指定した。この指定は、同社が連邦政府と事業を行う能力を大きく損なう可能性があり、現在も米国の裁判所で争われている。
軍全体でAIの利用が拡大する中、国防総省は調達手続きを集約させ、軍の装備調達でAIをいつ、どこに組み込むかについてもAIに判断させている。しかし、その結果、「一つの部署に専門的な責任が集中する」リスクが生じるとステックラー氏は報告書で指摘した。
「以前はさまざまな部署にあった責任が、今では誰の担当なのか、ほとんど分からなくなっている」とステックラー氏は述べた。国防総省は、現代的な装備を軍人の手に早く届けるために必要な官僚的な手続きを減らそうと、複雑な装備の調達を担当する専門職員の数を減らしている。
ステックラー氏は「古い手続きをなくすこと自体はいい。しかし、その代わりに新しく、より良い手続きをつくらなければならない。そうでなければ、混乱を生み、新たなリスクを持ち込むだけだ」と述べた。
■全面戦争
ステックラー氏は、陸軍のヘリコプターパイロットとしての自身の経験や、最近ウクライナの兵士らと交わした議論を研究に生かしている。ウクライナはすでにロシアとの戦争でAIを活用し、データ分析ツールを意思決定の支援に使っているほか、AIを搭載した自爆型のドローンや兵器の世界有数の実験場にもなっている。
ウクライナの戦場ではAI開発が急速に進められている。そのような場所、つまり全面戦争は米国にはない。ステックラー氏は報告書で、ロシアによる侵攻前、ウクライナでは新技術を軍で使用できるよう承認を得るまでに約2年かかっていたのに対し、現在は最短2週間で可能になったと指摘した。
「何かを実戦配備するか、領土を明け渡すかの二択になれば、当然、より早く実戦配備しようという動機が生まれる。こうしたことは、全面戦争という状況だからこそ可能になる」
ステックラー氏は報告書で、ウクライナの取り組みについて、「完璧よりもスピードを優先」し、成果を挙げないシステムは単純に放棄する姿勢だと説明した。全面戦争を強いられているため、より複雑なシステムはウクライナではまだ導入されていない。「人間の方が現在利用できるシステムより優れた能力を発揮している」ためだという。
また、もう一つの大きな違いとして、社会全体が関与している点を挙げた。例えば、動員された市民が工場で夜通し働いたり、自宅で電子回路基板を組み立てたりしている。
「同じような生存を懸けた危機に直面していなければ、人々が同じレベルの犠牲を払おうとすることはないと思う」と同氏は述べた。
米陸軍はAI統合の次の段階に向けて多額の投資を行い、AI開発を担う軍需企業の担当者を兵士と直接協力させる取り組みも増やしている。軍事上の問題を解決する新たな方式によって開発は加速しているが、それですべての導入障壁を乗り越えられるわけではない。
兵士の訓練と信頼の獲得は、依然として課題になるとステックラー氏は指摘する。
「兵士がシステムを信頼するには、システムが一貫して機能するところを実際に見なければならない。誰もが信頼を築けるようになるには時間がかかる。そもそも信頼を築ける段階に達するまでに、解決すべき技術的な問題がまだたくさんあると思う」

2 週間前
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