【分析】アリアナ・グランデの体形、またしてもニュースの題材に

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ANALYSIS

2026.08.06 Thu posted at 09:00 JST

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表舞台から一歩退くという決断を下したアリアナ・グランデ/Valerie Macon/AFP/Getty Images

表舞台から一歩退くという決断を下したアリアナ・グランデ/Valerie Macon/AFP/Getty Images

(CNN) 米歌手アリアナ・グランデが2日、「表舞台から一歩退く」と発表した。今夏のツアー終了後は公の場での活動を休止する。グランデは最新のシングル曲「ペタル」のミュージックビデオ(MV)を発表したばかり。その映像では、いつもながらの小柄な体格に胸の骨の影が際立って見えた。ファンや批評家、芸能ニュースの愛読者からは一斉に落胆と驚きの声が上がった。

活動休止の知らせは、グランデの代理人が芸能誌「ピープル」との独占インタビューで明かした。グランデのやせ細った体や健康状態をめぐる議論は、現在33歳の本人が10代だったころから何らかの形で続き、今回の発表でもとどまる気配がない。それよりずっと前から、注目を浴びる立場の有名人たちが同様の議論にさらされてきた。

グランデは3日、イリノイ州シカゴでの公演中に活動休止の件に触れ、公の場から距離を置くという考えは以前から計画していたものだったと明らかにした。

グランデの代理人は詳細に関するコメントを控えた。

グランデは体重が減っているようだが、そこに何か理由があったとしても、それは身近な人々以外には分からないことだ。本人の健康状態はプライベートな領域だが、その姿は至る所で人の目にさらされる。二つの領域のすき間を満たすのは臆測と、臆測すること自体の良しあしをめぐる議論だ。

43年前、大ヒット歌手のカレン・カーペンターが32歳で亡くなった。拒食症と過食症に起因する心不全だった。無数のファンの目の前で、カレンは年々弱っていった。

音楽評論家のジェームズ・ギャビン氏は2010年、米紙ニューヨーク・タイムズにカレンの伝記「Little Girl Blue: The Life of Karen Carpenter」(ランディ・シュミット著)の書評を寄せ、「彼女がどれほど繊細だったかは、1970年代半ばまでに痛々しいほど明白になった。当時の大衆は彼女が弱っていくのを目の当たりにした」とつづった。カレンは、「当時原因不明とされていた摂食障害と神経性やせ症、過食症を患い、自身をゆっくりと餓死に追い込んでいった」(ギャビン氏)

摂食障害を患っていたカレン・カーペンター(右)。同じく歌手のエミルー・ハリスと=1977年撮影/Michael Ochs Archives/Getty Images
摂食障害を患っていたカレン・カーペンター(右)。同じく歌手のエミルー・ハリスと=1977年撮影/Michael Ochs Archives/Getty Images

カレンとデュオを組んでいた兄のリチャード・カーペンターは2022年、共著「Carpenters: The Musical Legacy(邦題:イエスタデイ・ワンス・モア カーペンターズ全業績)」のプロモーションで出演した米CBSのインタビューで、「妹の病気が適切な扱いを受けたとは思わない」と語った。リチャードはかつて、スターとしての重圧で睡眠薬中毒に陥った。すでに自身の過去と折り合いをつけたが、妹の死だけは別だと語った。

だがその後、今からわずか6年前に、今度は米俳優チャドウィック・ボーズマンをめぐり、メディアと大衆がうわさ話や臆測で持ち切りになった。映画「ブラックパンサー」で知られるボーズマンは20年4月、米大リーグのジャッキー・ロビンソンが史上初の黒人選手としてデビューした記念日のインスタグラム動画に登場。そこで話題を呼んだのは、ボーズマンが発表した慈善活動でなく、突然の激やせぶりだった。役づくりで減量したのか。薬物を使っているのか、それとも病気か。

すべての疑問は数カ月後に解けた。ボーズマンは43歳で死去し、16年からひそかに大腸がんの治療を受けていたことが明かされた。メディアでもSNSでも当時、人気スターのボーズマンに対して体形を侮辱する「ボディーシェイミング」があったとの糾弾が繰り広げられた。

大腸がんで亡くなる前、チャドウィック・ボーズマンに対しては体形を巡る臆測が飛び交った/Rich Fury/Getty Images
大腸がんで亡くなる前、チャドウィック・ボーズマンに対しては体形を巡る臆測が飛び交った/Rich Fury/Getty Images

パーソナルトレーナーとヘルスコーチの肩書を持つケリー・コフィー氏は当時、米経済メディア「ビジネスインサイダー」とのインタビューで、ボーズマンがやせたことを理由にたたかれていたという事実から、ネット上で見る姿だけが判断基準になると、大半の人が他者に対していかに表面的な見方しかできないかがうかがえると語った。

グランデのキャリア全体を通して、人々は体重や外見への臆測をめぐらせてきた。グランデは19歳だった13年、ブログ型SNS「Tumblr(タンブラー)」への投稿で、「いつもはうわさに反応することを好ま」ないが、「皆さんの中に私を心配している人がいるので、この『摂食障害問題』を丸ごと取り上げ、皆さんに向けてちょっとメッセージを書き留める時間を取るべきだという気持ちになった」とつづった。

グランデはさらに「私は昨年、少しやせた。それはジャンクフードをやめて、健康的な選択をするようになったから。自分自身については前から満足していたし今も満足。ただもっと健康的になっただけのこと。私が昨年8月に自分の意思で選択した生活スタイルの変化は、やせることと無関係だし、これまでもずっと無関係だった。かつては自分の体にまったく気をつけていなかっただけ」と書いていた。

その10年後、グランデはTikTok(ティックトック)の認証済みアカウントに動画を投稿し、踏み込んでほしくない境界線を改めて示した。

「相手の体についてコメントする時は、どんな場合であれ、もっと優しさや気遣いが必要だと思う」と、グランデは語った。

とはいえ、グランデさんの仕事から切り離せない要素として、その体形は大衆の目にさらされ続けた。昨年はグランデと映画「ウィキッド 永遠の約束」での共演者、シンシア・エリヴォの二人が同作品のプレスツアーで見せた姿が詮索(せんさく)の的となり、懸念がさらに広がった。

摂食障害を専門とするペアレントコーチのウーナ・ハンソン氏は当時、CNNのインタビューで、この問題を非常に懸念した一部の親たちから相談を持ち掛けられたと語った。

「こうした女優たちが実際にどのような医学的・健康状態にあるのかは、我々には分からない。しかし、あまりにもやせた姿の画像はとてもつらいものであり、見る者に対して強い気持ちを呼び起こすと思う。たとえば自分の子どもが摂食障害によって衰弱していくのを目の当たりにした人にとってはそうだ」とハンソン氏は述べた。「あるいは自分の子どもが、こうしたプレスツアーの写真に極めてよく似た画像を目にしていたと思い当たる親もいるだろう」

9月1日に英ロンドンで最終公演を迎えるグランデのワールドツアー「エターナル・サンシャイン・ツアー」や、「ペタル」のMVでの姿も、さらなる懸念材料となった。摂食障害からの回復を掲げる活動家のチャーリー・ハワード氏はインスタグラム上に「ペタル」の静止画を投稿し、「ここに見える姿は尋常ではない」と書き添えた。

ハワード氏はまた「このような画像、映像、コンテンツや、それが女性や女の子たちに与え得る(そして実際に与えるであろう)悪影響について、話し合うことが極めて重要だと思う」と記述した。

英女優ジャミーラ・ジャミルはコメントにこう書き込んだ。「彼女はかわいそうに、もしかすると私たちの目の前で死に向かっているのかもしれない。この衣装は細さを強調して話題を呼ぶようなデザインになっている」

ジャミルが「もしかすると」と書いている通り、グランデについて語る人々はだれも、その根底にある事実に立ち入るすべを持たない。人々の懸念は、最終的には一度に複数の方向を指し示すことになる。つまりグランデ自身の想定上の脆弱(ぜいじゃく)さやファンに及ぼすとされる影響に対する本人の責任、そしてその画像自体がどれほど魅力的か、または衝撃的なのかが語られる。

今後しばらくの間、私たちがその姿を目にする機会は減るだろう。グランデはロンドンのウェストエンドでスティーブン・ソンドハイム作のミュージカル「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」の再演に出演する予定だったがすでに降板を決め、表舞台でのほかの活動も休止する。今回の発表では、ベン・スティラーと共演した11月公開予定の映画「ミート・ザ・ペアレンツ フィアンセの襲来」のプロモーションツアーにグランデが参加するかどうかについては言及されなかった。CNNはコメントを求めてユニバーサル・スタジオに問い合わせている。

グランデの代理人がピープルで発表した声明からは、本人に何らかの不調があるとの表現を避けているのが見て取れる。そこではツアーが「健全に、明るく」幕を閉じるとの見通しが示された。

そのうえで、本人が「際限なく続いている詮索(せんさく)」から遠ざかろうとしていると述べた。

本稿はCNNのリサ・レスパース・フランス記者による分析記事です。

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