
この記事の要点
- BPIなど67組織、主要AIラボに防御者への先端AI開放を要求
- OpenAI・Anthropicも防御支援を拡大、仮想通貨インフラの安全対策に影響
業界67組織、先端AIの防御者開放を要求
ビットコイン政策研究所(BPI)は2026年8月10日、Coinbase(コインベース)やStrategy(ストラテジー)など67組織と連名で、主要AIラボに公開書簡を公表しました。
「Defenders Need the Frontier」と題した書簡では、先端AIが攻撃側の能力も高めるなか、オープンソース金融インフラを守る開発者や研究者にも、最先端のAIモデルへ早期かつ管理された形でアクセスできる環境を提供するよう求めています。
こうしたアクセスが拡大すれば、ビットコイン(BTC)のコア開発者をはじめとするセキュリティ研究者も、先端AIを活用して脆弱性の発見やサイバー攻撃への対策を進められるようになる見通しです。
この要求にはKraken・Galaxy・MARA・Ledger・BitGo・Block・Trezor・Lightning Labs・Bitwiseなども賛同しており、仮想通貨(暗号資産)業界の主要企業・団体が幅広く署名しています。
BTC研究者の苦渋の決断
先端AIの利用制限が課題、AIラボは防御支援拡大
KYC完了後も防御研究でAIアクセス遮断
BPIの書簡公表に先立つ2026年8月9日、AnchorWatch(アンカーウォッチ)CEOでBitcoin Red Team創設者のロブ・ハミルトン氏は、OpenAIのプログラムでアクセスを制限された経緯を公表しました。
ハミルトン氏によると、サイバーセキュリティプログラム「Trust & Cyber」のKYC(本人確認)とオンボーディングは数カ月前に完了していたものの、実際に分析を開始した翌朝にはアクセスを遮断されました。
同氏は研究を続けるため中国製のオープンソースAIモデルへ切り替える方針を明らかにしており、防御目的の研究でも攻撃的行為に類似するリクエストが制限されるという、BPIが書簡で問題視したアクセス制限と重なる事例となっています。
OpenAI、サイバー防御支援を2階層に拡張
こうした問題が表面化するなか、BPIの書簡が公表された8月10日には、OpenAIがサイバー防御プログラム「Daybreak」を拡張し、「Daybreak Blue」と「Daybreak Red」の2階層体制を発表しました。
Daybreak Blueは脆弱性発見やセキュアコードレビューなどの防御業務を対象とする一方、Daybreak Redではゼロデイ脆弱性の探索やエクスプロイトチェーンの開発など、認可を受けた高度な研究まで扱います。
あわせて投入されたサイバーセキュリティ特化型モデル「GPT-5.6-Cyber」は、高度なサイバーセキュリティ要求に対する完了率で95.0%を記録し、標準のGPT-5.6 Solの1.5%を大幅に上回っています。
OpenAIはGPT-5.6-Cyberについて、研究者から寄せられたフィードバックをもとに開発したと説明しています。
Anthropicも先端AIを防御研究者に開放
Anthropic(アンソロピック)も「プロジェクト・グラスウィング」を通じて先端モデル「Claude Mythos Preview」を防御者に提供しており、重要なオープンソースプロジェクトを優先して支援する方針です。
同プロジェクトにはAWS・Apple・Google・Microsoft・CrowdStrikeなどがローンチパートナーとして参加し、最大1億ドル(約150億円)のモデル利用クレジットを拠出するほか、オープンソース組織への400万ドル(約6億円)の寄付も予定されています。
防御者の先端AIアクセス拡大へ5要件
OpenAIとAnthropicが防御者への支援を広げる一方、BPIは先端AIが攻撃側・防御側双方の脆弱性発見を加速させるなか、先端AIの新たなサイバー能力を早期に利用できる機会が、AIラボと一部パートナーに限られていると指摘しています。
この格差を縮めるため、書簡はAIラボに防御者向けの常設アクセスプログラムを新設・拡大するよう求め、制度設計に必要な5つの要件を提示しました。
| 早期アクセス | 最先端のサイバー対応モデルへの管理されたアクセス(プレリリース含む) |
| コンピュート | 長時間エージェント利用を含む十分な計算資源の提供 |
| 安全な環境 | 非公開・エンバーゴ中のコードを分析できるセキュアな環境 |
| 対象範囲 | 小規模組織・非営利団体・独立保守者・大企業・政府を含む参加資格 |
| 連携体制 | 脆弱性の協調開示・修復・ラボセキュリティチームとの直接連絡 |
書簡が求めているのは先端モデルの無制限公開ではなく、信頼できる防御者に対象を絞った管理下でのアクセスであり、BPIには高度なAIを用いた継続的な攻撃によって少人数のオープンソース開発チームが資源を消耗しているとの報告も寄せられています。
北朝鮮ハッカーのAI武装が本格化
コインベースも先端AIを防御活用、アクセス拡大は途上
仮想通貨業界ではすでに先端AIの防御利用が始まっており、Coinbase(コインベース)は2026年8月、Anthropicの「Claude Mythos Preview」へのアクセス権を確保して防御活用に乗り出しました。
OpenAIとAnthropicが防御者向けプログラムを拡大し、Coinbaseのような利用例も出始める一方、ハミルトン氏の事例では承認済みの研究者が実際の研究段階でアクセスを遮断される問題も残っています。
BPIを含む67組織はこうした制限を踏まえ、参加資格や利用条件を設けた常設アクセス制度を整備し、信頼できる防御者に先端AIを開放するようAIラボ各社に求めています。
関連の注目記事はこちら
Source:BPI公開書簡
サムネイル:AIによる生成画像

1 時間前
1









English (US) ·
Japanese (JP) ·