磁性を持つかどうかは「上向き」と「下向き」のそろい方で見る
磁石の性質を見せるために使われる、棒の形をした永久磁石です。左端の「S」と刻まれた側がS極です。物理学者は、こうした磁石の性質を、電子1つ1つが持つスピン(自転にたとえられる性質)の並び方で見ています。Credit: File:Bar magnet.jpg: Photo taken by Aney / derivative work: MikeRun / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)まずは、物理学者が磁石をどう見ているのかを確認しておきましょう。
注目するのは、電子1つ1つが持つ、自転にたとえられる性質(スピン)です。
スピンには「上向き」と「下向き」があり、これが決まった模様にそろって並ぶと、その物質は磁性を持つとみなされます。
1つ目の強磁性は、すべてのスピンが同じ向きにそろうタイプです。
向きがそろって外に磁場が現れるため、人類はこの種類の磁石を大昔から知り、使ってきました。
棒磁石を、方位磁針をたくさん並べた板の上に置いた教材です。磁石の外に現れる磁場の形が、並んだ針の向きで分かります。Credit: Original version:Yzarc-pan This version:Chetvorno / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)2つ目の反強磁性は1933年に見つかったタイプで、スピンが上・下・上・下と交互に並びます。
隣どうしの向きが打ち消し合うので、物質全体としては磁石の力が外に出てきません。
それから90年近く、磁性はこの2つに分けて考えるのが当たり前でした。
ところが近年、両方の特徴を併せ持つように見える物質が現れます。
スピンは反強磁性のように交互に並び、全体としての磁化もありません。
それなのに、強磁性のようにスピンの流れ(スピン流)を利用できるらしいのです。
この2つの性質は、かつては両立しないと考えられていました。
そこで2022年、研究者たちはこの不思議な物質のグループに「オルターマグネット(altermagnet)」という名前を付けました。






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