世界周航を続けるクルーズ船が運航停止に、「住民」を下船させる対応 イラン戦争で燃料費高騰

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(CNN) 2年以上にわたって世界周航の旅を続けてきた居住型のクルーズ船が、カンボジアで乗客を下船させた。イランとの戦争の影響で燃料価格が高騰し、航海を続けることが困難になった。

苦渋の決断を迫られたのは豪華船「ビラ・ビ・オデッセイ」。米フロリダ州に拠点を置く運航会社は27日、カンボジアで運航を停止し、居住者の一時滞在先の確保を進めていると発表した。居住者の多くは船内に客室を所有して、そこに永住する人たちだ。

運航会社のビラ・ビ・レジデンシズは声明で、「2月下旬に紛争が始まって以来、当社は燃料消費を抑えるために多大な措置を講じてきた。この中には航海のペースを落としたり、港での停泊時間を延ばしたりする対応も含まれる」と説明した。

「こうした対策では燃料費の異常な高騰を相殺できず、結果として生じる運航赤字をこれ以上抱え続けることができなくなった」という。

CNNはビラ・ビ・レジデンシズにコメントを求めている。

オデッセイは2年あまり前に英領北アイルランドのベルファストを出港して以来、航海を続けてきた。船の全長は約195メートル。「新しい生活のあり方」を提供する「アットホーム」な船とうたわれ、「他の船ではアクセスできない世界各地の場所」に到達できるとされている。

ビラ・ビ・レジデンシズのウェブサイトによると、オデッセイに5年間居住する費用は5万9999ドル(約946万円)から。客室に永住する場合は11万9999ドルかかる。これとは別に、所有者は客室の種類に応じて月額3299~9500ドルを支払い、食事や飲み物、Wi-Fi(ワイファイ)、診察、客室清掃などの費用に充てる。月額3499ドルから客室を借りることも可能だ。

ホリー・ヘネシーさんと飼い猫。2024年9月の出発以来、オデッセイで暮らしてきた/Courtesy Holly Hennessy
ホリー・ヘネシーさんと飼い猫。2024年9月の出発以来、オデッセイで暮らしてきた/Courtesy Holly Hennessy

公式サイトによると、オデッセイは世界を回る航海を続けながら、400カ所以上の目的地を訪れる予定だった。

しかし、ビラ・ビ・レジデンシズは声明で、イラン戦争やホルムズ海峡の混乱を原因とする燃料価格の高騰により、「事業継続が不可能なほど財務が圧迫」されていると説明した。

同社によると、客室1室あたりの1カ月の燃料費は約1800ドルから、中東産エネルギーの輸入が多いアジアの一部地域では8000ドルにまで上昇した。

ビラ・ビ・レジデンシズは「上昇分をすべて居住者に転嫁するのは現実的な解決策ではない」と説明。今後2カ月かけて「事業再編や資本構成の見直し」を進める方針を示したものの、「成果が得られる保証はない」としている。

オデッセイの出港以来、飼い猫と一緒に乗船してきたというホリー・ヘネシーさんによると、居住者に通知があったのは下船の1日足らず前。ただ、こうなる予兆は前からあった。

「戦争が始まって、本当に厳しい状況になった」とヘネシーさん。居住者は5月の時点で燃料費の追加負担を求められていたという。オデッセイはエネルギー節約のために冷房の使用を抑えていて、船内にとどまっても快適な暮らしとはいかなかったはずとも語った。

ベトナムのハロン湾をクルーズする猫のキャプテン/Courtesy Holly Hennessy
ベトナムのハロン湾をクルーズする猫のキャプテン/Courtesy Holly Hennessy

それでもヘネシーさんは、船の上で暮らす経験は「お金には代えられないものだった」と話している。

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