
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)は、2026年8月13日(木)、千島列島最大の島である択禄島のクリリスクにある、ロシア英雄エドゥアルド・ノルポロフ記念中学校を訪問した。(ガヴリール・グリゴロフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Friday, August 21, 2026
【ソウル】日本が領有権を主張する北西太平洋の島々の周辺で、ロシアがミサイル発射試験を実施した。ロシアと日本の間で1週間にわたって続く外交上の対立が、軍事的な緊張に発展した形だ。
対立の発端は8月13日、ロシアのプーチン大統領がロシアが実効支配し、日本が領有権を主張する北方領土の島を予告なく訪問したことだった。
北方領土は、日本最北の主要島である北海道の北東に位置する。
北方領土を巡る対立は、1945年8月19日から9月5日にかけての戦闘に端を発する。この間、ソ連は当時日本が統治し、日本人が居住していた4島を占領した。
日本は9月2日に降伏したものの、ソ連の行為を正当なものとは認めてこなかった。北方領土で最も近い島から北海道までは5キロ足らずしかない。
外交上の対立が軍事面に移ったことは、日本の防衛計画担当者にとっては想定外だ。
近年、日本は戦略上の取り組みを南西諸島に重点的に振り向けてきた。南西諸島には沖縄の米軍も展開している。
南西諸島は、中国海軍が台湾方面に進出するのを阻止する上で格好の位置にある。
その一方で、北海道の対露防衛は後回しにされてきた。
■予想外の軍事行動
ロシアメディアは20日遅く、ロシア太平洋艦隊が「バスチオン」沿岸防衛システムの発射試験を実施したと報じた。
バスチオンは北方領土の択捉島に配備され、超音速の「オニクス」ミサイルを発射できる。射程は最大で800キロに達する。
ロシアメディアによると、演習には太平洋艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「ワリャーグ」と原子力潜水艦も参加した。
これは事態のエスカレーションを意味する。
プーチン氏は8月13日に択捉島を訪問し、地元知事や住民と面会したほか、学校や病院、魚加工工場などを視察した。
島の領有権を主張する日本政府は強く反発した。
高市早苗首相はテレビで「日本国民の感情を傷つけるもので、断じて受け入れられない。ロシア側には、この問題の重大性を十分に認識してもらいたい」と述べた。
14日には、中国とロシアの駐日大使が共同声明を発表し、第2次世界大戦の結果を変更しようとする動きに反対すると主張した。
18日、ロシアのガルージン外務次官は、武藤顕駐ロシア大使を呼び出した。武藤氏はロシア外務省の入り口でロシアメディアの取材攻勢を受けた。ガルージン氏は高市氏の「反ロシア」発言に抗議し、「ロシア政府は適切な対抗措置を取る権利を留保する」と警告した。
北方領土は、ロシアの艦艇がオホーツク海と太平洋の間を航行する際に、年間を通じて利用できる海路になっている。
また、ロシア極東連邦管区を海上から守る役割も果たしている。同地域には弾道ミサイルや原子力潜水艦などの戦略兵器が配備されている。
ロシア極東は人口が少なく、ロシアの政治的中枢である欧州部から数千キロ離れている。しかも、長く不安定な補給線の先に位置する。
ロシアでは長年、隣国の中国が巨大な人口と急速な経済成長を背景に、極東の領土に進出するのではないかとの懸念がひそかに語られてきた。
北方領土は、ロシアにとってさらに辺境の地だ。
1999年から権力を握るプーチン氏が北方領土を訪問するのは今回が初めて。ロシア大統領が訪れたのは2010年のドミトリー・メドベージェフ氏が唯一で、この時プーチン氏は首相だった。
■クレムリンの思惑
ロシア軍のウクライナでの地上攻勢がほとんど進まず、ウクライナ軍のドローンがロシアの防空網を突破して広大な国内各地の目標を攻撃している現在、プーチン氏は民族主義的な強硬派の支持基盤を固めるため、何らかの明るい材料を必要としている。
日本は格好の標的になり得る。
ロシア系のアジア問題研究者レオニード・ペトロフ氏は、「北大西洋条約機構(NATO)諸国はモスクワを放射性物質に汚染された廃虚に変える能力を持っているが、それを考えることさえためらっている。一方、日本は核攻撃の惨禍を経験した国でありながら、核兵器を1発も保有していない。そのため、プーチン氏が領土問題で圧力をかけるには格好の標的だ」と述べた。
プーチン氏の行動には、日本の安全保障上のパートナーを試す狙いもある可能性がある。
オーストラリア国立大学の客員研究員でもあるペトロフ氏は、「プーチン氏は、ロシアには核兵器があり、使用する用意もある以上、NATOやクアッドの国々に対し、ロシアは好きなことを、好きなだけできるということを示そうとしている」と述べた。
NATOはウクライナへの関与に極めて慎重な姿勢を取っている。クアッドは同盟ではなく、安全保障対話の枠組みで、オーストラリア、インド、日本、米国の4カ国で構成される。
日本は米国と二国間同盟を結んでおり、米国は現在の対立に直接関与していない。
ロシアはウクライナで、西部方面の「ザーパド(Z)」と東部方面の「ボストーク(V)」の部隊群に大きな損害を受けている。
しかし、戦闘に投入されていない太平洋艦隊は、依然として完全な作戦能力を維持している。
北海道で有事が発生すれば、日本の防衛当局にとって歓迎できない事態となる。
ソ連崩壊後、ウラジオストクを拠点とするロシア太平洋艦隊は深刻な整備不良に陥った。その後、立て直されたものの、2022年以降、ロシア軍は世界最大の国土の西に位置するウクライナで、長期にわたる流血の戦争にくぎ付けになっている。
日本が北海道よりも南西諸島を重視してきたことは先週まで、安全な選択に見えていた。
在日米軍の元計画立案担当将校ランス・ガトリング氏は、「これは少し意外な展開だったはずだ。日本が沖縄を重視してきたことについて、疑問が生じている。北海道に新たに配備されるものはそれほど多くない。南西方面に更新・配備されている対艦ミサイル部隊も、もともとは北海道にあったものだ」と述べた。
近年、中国とロシアの海空軍は、日本周辺や東シナ海、日本海、西太平洋で共同演習を実施している。
ロシアが中国と連携して、日本の関心と戦力を南西方面からそらそうとしているのかどうかは分かっていない。
ただ、プーチン氏と中国の習近平国家主席の緊密な関係や、先週、両国の駐日大使が発表した共同声明を考えれば、十分にあり得る。
ガトリング氏は、さらに別の可能性を指摘した。
「ロシアの狙いは、南西方面での中国の脅威から目をそらすことなのか、あるいは日本への戦略的圧力を一段と強めることなのか。それとも、後に有利な条件で交渉に持ち込むための布石なのだろうか。ロシアは、日本の資金や技術を利用して極東を発展させ、中国への依存が強まる状況を緩和することもできる」

2 週間前
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