(CNN) 米国のトランプ大統領は、イランとの間で14日に成立した合意の条件に基づき、重要なホルムズ海峡が再開されたと主張している。しかし、海運業界の関係者にそこまでの確信はないのが実情だ。
「多くの船舶が、石油を満載してホルムズ海峡から移動し始めている」と、トランプ氏は15日にソーシャルメディアへ投稿した。
しかし、船舶の動向を追跡している専門家らは、実際にはそうなっていないと指摘する。合意内容が不透明であることやその他のリスクにより、この重要な海上の要衝を通過する船舶の往来は、今後数週間から数カ月にわたり、ごく限られたものにとどまる可能性が高い。
「米国とイランによる声明は現時点では不明確であり、時期や安全な航路といった重要事項について十分な情報を提供していない」と、主要な国際船主団体であるバルチック国際海運協議会(BIMCO)の安全・保安担当最高責任者ヤコブ・ラーセン氏は声明で述べた。
「詳細が不足していること、そしてこれまで過度に楽観的な安心材料が示されてきた経緯を踏まえると、海運業界を取り巻く安全保障環境は依然として不安定であり、現時点で船舶が航行を開始するのはまだ非常にリスクが高いと考えている」「船主に対しては引き続き徹底したリスク評価を行うよう助言するとともに、すべての関係者に対し、船員の安全を最優先に考えるよう求める」(ラーセン氏)
一部の船舶は、戦争が最も激しかった時期でさえ、すでに海峡を通過していた。また、過去の暫定的な合意を好機と捉え、船舶が一斉に脱出を図ったこともあった。
ラピダン・エナジー・グループの創業者兼社長であるボブ・マクナリー氏がCNNに明らかにしたところによると、現在ホルムズ海峡を通過する石油はほとんどの日で通常の輸送量の0%から10%程度。それが原油価格のさらなる上昇を抑える一因になっているという。海峡の再開が近いとの期待から、15日には原油先物価格が3カ月ぶりの安値まで下落した。
しかし、船舶の動向を追跡している分析会社ケプラーのデータによれば、現在ペルシャ湾に足止めされている220隻のタンカーと、船舶全般約500隻に顕著な移動は確認されていない。
「これは驚くことではない。合意への署名は19日まで予定されていないからだ」と、ケプラーの主任石油アナリストを務めるマット・スミス氏は指摘。海上交通が「正常」と見なせるようになるまでには、おそらく3〜4カ月かかるだろうと付け加えた。
スミス氏によると、ほとんどの船舶運航会社は他の船が実際に海峡を通過するのを確認した後で、自社の船舶の航行に踏み切りたい考えだとみられる。それは海上保険会社も同様で、各社は今のところ海峡を通過する船舶への保険引受に前向きな姿勢を示していない。しかし保険がなければ船舶側はさらに通航をためらうため、結果的に膠着(こうちゃく)状態が生じることになる。
「鶏が先か卵が先かという状況だ」(スミス氏)
大手海上保険会社のウェブサイトには、攻撃が発生した場合に再び船舶を保険対象とすることを示す記載はなかった。海上保険会社の一つであるスカルドは、補償条件の制限を変更していないことを認めた。
BIMCOのラーセン氏は、海運会社には機雷のない航路が確立されたという保証が必要だと述べた。トランプ氏は15日、機雷除去作業が現在進行中だと説明。「19日には完全に開放されるだろう」との見通しを示した。フランスで開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でマクロン仏大統領との会談中に述べた。
しかしラーセン氏は、海運会社には船舶同士の安全な距離の確保や海軍による護衛といった事項についても明確な指針が必要だと語った。
「ペルシャ湾内で足止めされている船舶は、安全になり次第できるだけ早く出発したいと考えるだろう」「次の段階は、船主たちがホルムズ海峡の通過について、単に許可されているだけでなく安全でもあると確信できるようになることだ」(ラーセン氏)

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