トランプ氏、金正恩氏との再会談模索 非核化巡り溝

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2019年2月27日、ベトナムのハノイで、ドナルド・トランプ米大統領(左)が北朝鮮の金正恩委員長と写真撮影に応じた。(AP通信/エヴァン・ヴッチ撮影)

2019年2月27日、ベトナムのハノイで、ドナルド・トランプ米大統領(左)が北朝鮮の金正恩委員長と写真撮影に応じた。(AP通信/エヴァン・ヴッチ撮影)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Tuesday, September 1, 2026

 【ソウル】トランプ大統領にとって、金正恩氏との首脳会談を再び実現することは、かねて公言してきたノーベル平和賞への期待を満たす上でも、大きな意味を持つ。だが専門家らは、実質的な突破口や譲歩は期待できないとみている。今回は、北朝鮮の指導者は2018~19年当時ほどトランプ氏を必要としていないからだ。

 金正恩朝鮮労働党総書記がトランプ氏の要請に応じるかどうかは不明だが、米朝対話再開の可能性が出てきた現段階で既にさまざまな課題が浮上している。

 北朝鮮が非核化に強く抵抗する中、米朝が話し合える共通の土台は何なのか。どのような取引が可能なのか。協議は米国内や米国の同盟国の間で、どのように受け止められるのか。

 トランプ氏はここ数週間、正恩氏との首脳会談に言及し、両国間で意思疎通が行われていることも認めている。さらに、北朝鮮への働き掛けとみられる措置として、韓国との合同軍事演習を途中で中止するという異例の判断も下した。

 ただ、トランプ氏にとって問題なのは、正恩氏が今や、2018~19年にシンガポールとベトナムのハノイで会談した当時ほど、米国を必要としていないことだ。

 2024年、北朝鮮はロシアと相互防衛条約を締結し、国際社会を驚かせた。これは、ウクライナ紛争でロシアを支援した正恩氏に報いるため、プーチン大統領が署名したものだ。

 現在、ロシアは北朝鮮経済を支え、新たな技術や戦術を提供して軍事力を強化するとともに、国際制裁の回避も可能にしている。

 中朝関係も同様に強固な状態にあるとみられる。

 正恩氏は現在、2011年に権力を継承して以来、最も有利な立場にある可能性がある。

 一方、トランプ氏はイラン攻撃に足を取られ、共和党も11月の中間選挙で大敗する可能性がある。

 しかも北朝鮮は、米国が最優先課題とする非核化について、「議題にしない」と繰り返し表明している。

■非核化なら対話なし

 北朝鮮はトランプ氏の働き掛けに公式な回答を示していないが、応じる可能性を指摘する専門家もいる。

 北朝鮮との交渉を担当した元米政府特使のジョー・デトラニ氏は「トランプ氏は正恩氏と会談したいと言っている。それが出発点になるべきだ」と語った。

 韓国国立外交院で要職を務めたことのあるイ・ビョンチョル氏は「正恩氏が拒否する理由はない。トランプ氏は追い詰められており、自身の権威を高めるため正恩氏との会談を切望している。それは正恩氏の権威を高めることにもなる」と述べた。

 最大の課題は、何を議題にするかだ。

 米国務省は3日、韓国の聯合ニュースに、非核化は依然として米国の政策であることを明らかにした。だが、これが障害になる。

 韓国・国民大学の北朝鮮専門家アンドレイ・ランコフ氏は「非核化が議題に上がるなら、対話は行われない。それだけだ」と指摘した。

 多くの政治家、外交官、専門家は、この現実を認めたくないようだ。だが、トランプ氏はその行動を見る限り、別の考えを持っているようだ。

 ランコフ氏は「それはトランプ氏が現実を重視していることを示している。非核化が議題に上がることはない。北朝鮮は核保有国だからだ」と語った。

 北朝鮮の「聖なる剣」とされる核抑止力は、体制の威信の中核を成している。北朝鮮は、核開発に大量の資源を投入する一方で、国際的孤立という大きな代償を払ってきた。

 北朝鮮指導部は、最大4カ所とされるウラン濃縮施設、米本土を攻撃可能なものを含む大量のミサイル、さらに駆逐艦、水中無人機、建造中の原子力潜水艦など、拡大を続ける海上発射能力を決して放棄しない姿勢を繰り返し示している。

 非核保有国イランが苦境に陥っていることは、北朝鮮指導部にとって、自国を攻撃から守る核戦力を整備してきたことが正しかったと考える根拠になっている可能性が高い。

 これは米国の交渉担当者にとってジレンマとなる。

 デトラニ氏は「私は13年間、北朝鮮との交渉に携わり、北朝鮮がなぜ核兵器を欲し、必要としているのかを理解している。しかし、核拡散防止の観点から、北朝鮮を核保有国として受け入れるべきではない」と語った。

 北朝鮮にとってこれは触れたくない課題であり、意思疎通は慎重に行う必要がある。

 韓国の元陸軍中将チョン・インボム氏は「非核化が議題から外れていると考えるべきではない。議題を色分けする必要がある」と述べた。

 デトラニ氏も「トランプ氏は完全かつ検証可能な非核化を後回しにすることはできる。しかし、それは完全な非核化が最終目標ではないという意味ではない。核・ミサイル計画を停止させることが当面の目標だ」と主張した。

■議題を巡る問題

 北朝鮮と米国の間の隔たりは非常に大きく、対話は失敗に終わるとみる専門家もいる。ロシアと米国のウクライナ紛争を巡る立場の違いをその例として挙げている。

 韓国・高麗大学の北朝鮮専門家フョードル・テルティツキー氏は「トランプ氏とプーチン氏を見ればいい。何度も協議し、互いに探り合っているが、何も起きない」と語った。

 また、見栄えだけの首脳外交に警戒する声もある。

 北朝鮮専門サイト「38ノース」のディレクター、ジェニー・タウン氏は「トランプ氏がこれほど会談を熱望していることは、会談を実現するためにどこまで譲歩するつもりなのかという疑問を生む。派手な首脳会談はこれまで、実質的な成果をほとんど挙げていない」と指摘した。

 協議の重点を非核化ではなく軍備管理に置けば、核拡散防止を巡る米国自身の長年の立場を損なう可能性がある。

 イ氏は「軍備管理は事実上、核保有国としての地位を認めることになり、危険な前例をつくりかねない。韓国や他国で、自国も核武装すべきだという考えを助長する可能性がある」と述べた。

 一方、取引材料はあるとみる専門家もいる。

 ランコフ氏は「トランプ氏にはSNSトゥルース・ソーシャルで自慢できる成果が必要で、正恩氏には制裁の一部または全面的な解除が必要だ。トランプ氏が制裁解除に向けた措置に同意すれば、北朝鮮には話し合う理由が生まれる」と語った。

 デトラニ氏は「北朝鮮は、米国との関係正常化に向けて動けば、安全の保証と国際的な正統性を得られる。そうなれば、北朝鮮は国際金融機関を利用できるようになる」と述べた。

 失敗にも成功にもリスクが付きまとう。

 ハノイでのトランプ氏との首脳会談が決裂した後の正恩氏の行動を考えれば、次の会談が失敗すれば、さらに強硬な姿勢に転じる可能性がある。

 テルティツキー氏は「ハノイ会談後、正恩氏は深い裏切りを感じたと思う。北朝鮮の孤立はさらに深まった。『すべてを封鎖し、改革を後退させ、さらに強硬路線を取る』ようになった」と語った。

 また、首脳会談が成功したからといって、対話が継続的に進展するとは限らない。

 ソウルを拠点とする国際関係専門家のダニエル・ピンクストン氏は「双方とも、相手が約束を守ると信頼できるかという問題を抱えている。正恩氏のような独裁者だけでなく、トランプ氏にも同じ問題がある。どんな合意も翌日には、意地の悪い投稿一つで覆される可能性がある」と述べた。

■米国と同盟国はどう見るか

 非核化が議題から外れれば、米国民は核保有国としての北朝鮮が恒久化することを受け入れざるを得なくなる。

 これはトランプ氏の批判勢力に格好の攻撃材料を与えることになる。しかし、同氏が批判を意に介さないことは、前回の正恩氏との接近で示されている。トランプ氏は支持者を前に、独裁者である正恩氏と「恋に落ちた」と語った。

 タウン氏は「トランプ氏は批判をそれほど恐れていない。1期目の北朝鮮政策を見れば分かる。米国の同盟国にとっては危険な提案だが、韓国、日本などの米同盟国はすでに、米国の利益と同盟国の利益の間に大きなずれが生じていることを目の当たりにしている」と述べた。

■韓国は前向き、日本は慎重

 韓国の革新系、李在明政権は北朝鮮との独自の交渉を始めることに前向きだ。一方、日本の保守系、高市早苗政権にとって、それは優先課題ではない。

 韓国人は隣国の脅威に比較的無頓着な傾向があるのに対し、唯一の被爆国である日本の国民は敏感に反応する。

 しかし、日本には影響力がない。

 日本のある大学教授は「日本の立場は確かに難しくなるだろう。だが、ほとんどなす術はない」と、政府への助言を行っていることを理由に匿名を条件に語った。

 大阪大学で地域関係論を教える佐藤治子氏は「そもそも日本や韓国は、北朝鮮を巡ってトランプ氏に何を期待できるのか。日本政府は米国に核の傘を提供してもらうこと以外、あまり期待していないと思う」と述べた。

 トランプ氏が北朝鮮の核保有を事実上認めることによって、韓国や日本が自国の核武装に向けた動きを始めることはないのか。

 ランコフ氏は「韓国人の大半は一貫して核武装を支持してきた。トランプ氏と(支持基盤の)MAGAの孤立主義の影響を受けている。一方、大多数の日本国民は核兵器の考えに反対している」と語った。

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