
米中対立が続く中で行われた2026年5月の米中首脳会談は、表向きには経済問題や貿易交渉が注目されました。しかし、その裏では台湾問題やイラン情勢をめぐる駆け引きが行われていた可能性も指摘されています。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、トランプ大統領の発言に注視したニューヨークタイムズの記事を引用して国際政治の思惑について考察しています。
トランプは習近平に何を要求したのか?
5月14日に行われた米中首脳会談の後でトランプ大統領から興味深い発言がありました。
「台湾への武器輸出は非常に強力な交渉カード(very good negotiating chip)だ」というのです。
2026年5月16日ニューヨークタイムズの記事からです。
記事抜粋
トランプ大統領は専用機内で記者団に対し、北京での首脳会談中に習近平国家主席と台湾への武器輸出について協議したと語った。
台湾政府は米国からのミサイル、対ドローン装備、防空システムからなる140億ドルの輸出について、トランプ氏が承認するのを待っている。
インタビューでトランプ大統領は台湾との取引を承認するかどうか尋ねられた。
「いや、それは保留にしている。中国次第だ」と、彼は述べた。
見返りに何を求めているかについては詳述しなかったが、トランプ氏は中国に対し、米国の航空機、エタノール、大豆、牛肉、ソルガムを大量に購入するよう迫っている。
トランプ大統領は、台湾への大規模な武器売却の可能性について、中国との「交渉の非常に強力なカードだ」と述べた。
解説
台湾への武器輸出、それをトランプ大統領は留保しています。
それが中国との交渉の非常に強力なカードというのです。
この記事では、「米国から航空機、エタノール、大豆、牛肉、ソルガムを購入するように交渉している」という書き方です。
しかし、交渉しているのはそれだけでしょうか?
私は、イランについての交渉がメインだったと思います。
中国はイランから原油を輸入しています。
2024年は、中国はイランから約90%の原油を購入し、これは中国の原油輸入全体の10~15%を占めています。非公式に輸入しているのです。
イランにとって中国の原油購入は経済活動の生命線です。
中国がイランからの原油購入を減らせば、それはイラン経済に対して死活問題になります。
トランプ大統領は、「イランからの原油購入を減らせ」と中国に交渉したでしょう。
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さらに交渉したであろう事があります。
それは「イランに武器を売るな」という事です。
トランプ大統領は習近平に言ったでしょう。
「もし米国は台湾に武器を売るなと主張するならば、中国もイランに武器を売るな」
経済面、軍事面の両面で中国を通してイランにプレッシャーをかけようとしているのです。
「習近平さん、あなたの出方によっては台湾への武器売却を実行する。」
そう言って帰りの飛行機に乗ったのです。
それが「台湾への武器輸出は非常に強力な交渉カードだ」という発言の真意でしょう
交渉のポイントはボーイングや農産物ではありません。イランです。
中国を通じてイランに圧力が伝わったからこそ終戦が現実味を帯びてきていると考えます。
PS
もう一つ、注目すべき事があります。
台湾はアメリカの安全保障にとって最優先事項ではないという事です。
イラン戦争のような重要問題がおこれば、台湾も交渉材料、ひとつのカードとして使われるのです。
他山の石とすべきでしょう。
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image by: Joey Sussman / Shutterstock.com
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