約2800億円にも及ぶトランプ大統領の「反武器化基金」が、民主党だけではなく一部の共和党の議員からも批判されている。
共和党のトム・ティリス上院議員は5月21日、スペクトラムニュースのルーベン・ジョーンズ記者とのインタビューで、「あまりに馬鹿げている」とコメント。
「あなたや私の納税したお金が、警察官を暴行して罪を認め、有罪判決を受け、その後恩赦された人たちへの補償金として支払われる可能性がある」と述べた。
「反武器化基金」とは
司法省は5月18日、トランプ氏とIRS(内国歳入庁)との訴訟を和解する一環として、「反武器化基金」を設立すると発表した。
トランプ氏と長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏、次男のエリック・トランプ氏、トランプ・オーガニゼーションは1月、IRSの仕事を請け負っていた人物が2018〜2020年にかけてトランプ氏の納税情報をニューヨークタイムズとプロパブリカに漏洩した件をめぐり、IRSと財務省に100億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こした。
司法省はこの訴訟を取り下げる見返りとして、反武器化基金を設立することでトランプ氏と合意した。
反武器化基金には、連邦政府の「判決基金」から17億7600万ドル(約2821億円)が拠出される予定だ。この数字は、アメリカがイギリスからの独立を宣言した1776年に由来している。
司法省は反武器化基金の目的を「政治の武器化や法律の悪用によって被害を受けた被告以外の人々の訴えを聞き、救済するためのプロセスを提供すること」だと説明。
ブランシュ司法長官代理は「政治機構は、どんなアメリカ国民に対しても武器化されるべきではない。これは司法省が過去の不正を正し、このようなことが二度と起こらないようにするためのものである」と述べている。
民主党は「裏金基金」と批判
声明によると、トランプ氏らは正式に謝罪されるものの、補償金は受け取らない。
また、トランプ氏はIRSに対する訴訟に加え、機密文書をめぐる自身の邸宅「マー・ア・ラゴ」への捜索とロシア疑惑捜査の損害賠償請求も取り下げる。
司法省は補償金を受け取れるのは「政治的武器化によって被害を受けた人々」としているが、具体的に誰が支払い対象となるかは明記していない。
今回共和党からも反発を招いている理由の1つが、2021年1月26日に起きた連邦議事堂襲撃事件に関与したトランプ支持者も支払い対象に含まれる可能性があるためだ。
実際、1月6日の暴動の参加者の弁護士として補償金支払いを求める申し立てを行っているマーク・マクロスキー氏は、依頼人への支払いのために類似の基金を設立するよう政権に働きかけていたハフポストUS版に語っている。
トランプ氏は、自身が敗北した2020年の大統領選挙は「盗まれた」と主張し、2期目の大統領に就任した初日に、襲撃事件で有罪判決を受けた約1500人を恩赦した。
襲撃事件では、関連死も含めて警察官ら少なくとも5人が亡くなっているが、有罪判決を受けた参加者も反武器化基金を受け取る可能性がある。
共和党のティリス議員はスペクトラムニュースへのコメントで、暴動参加者たちが給付対象となる可能性があることを非難し「アメリカ国民はこの基金を拒絶するだろう」と主張。基金を「独裁政治だ」と述べた。
同じく共和党ブライアン・フィッツパトリック下院議員も「この基金を客観的に見れば、ばかげていると誰でもわかるはずです」と出演したCNNで語っている。
民主党は、基金はトランプ氏が支持者へ利益を供与するための「裏金」だと批判している。
同党のジェイミー・ラスキン下院議員は18日、「トランプ大統領は、自身の100億ドルの訴訟を取り下げる代わりに、選挙否定論者や暴動参加者に税金を流し込むための17億7600万ドルの裏金基金を手に入れた」とXに投稿した。
民主党のチャック・シューマー議員も、「彼がこれまで行ってきた数々の腐敗行為の中でも、これは最も堕落したものの一つだ。大統領が、民主主義への攻撃を手助けした人々への報酬プログラムとして司法省を利用することなどあってはならない」と声明で述べた。
一方トランプ氏は22日、「私は『反・武器化基金』を作るために、多額のお金を諦めた」とトゥルースソーシャルに投稿。
「違法な納税申告書の公開やマー・ア・ラゴへの侵入捜査を含め、私は自分の訴訟を莫大な金額で和解することもできた。しかしその代わりに、邪悪で腐敗し、政治的に武器化されたバイデン政権によってひどく虐待された他の人々がようやく正義を受けられるよう、私は助けているのだ!」と主張している。

1 時間前
1





English (US) ·
Japanese (JP) ·