チカン被害で女性に“自衛“を求めた埼玉県警に批判。『混雑車両を避ける・友人と一緒』に「女も定時に仕事に行くんだが?」

1 時間前 1

電車内での痴漢被害の多発を受けた埼玉県警のX投稿が物議を醸している。

「被害に遭わないために」と女性に自衛を呼びかけたことに対して、「被害者ではなく加害者に言うべきだ」と批判の声が寄せられている。

どんな投稿だったのか

問題視されているのは埼玉県警察本部生活安全総務課が運用する「埼玉県警察犯罪情報官」Xアカウントによる9月3日の投稿。

「県内では、電車内で女性が狙われるチカン被害が多発しています」と紹介し、「被害に遭わないため」の方法として、次のような自衛策を呼びかけた。

「≪混雑している車両を避ける・車両のドア付近に立たない・友人と一緒に乗ったり、他の女性の近くに乗る・女性専用車両を利用する≫などしてください。また、身の危険を感じたら、≪大声で周囲に助けを求める≫などし、直ちに110番通報をお願いします」

続く投稿で、県警の「鉄道チカン犯罪被害防止」のページのURLを添え、痴漢撃退アプリなどを案内している。加害者に対する言及はなかった。

埼玉県警の投稿に対して「あなたたちに出来るのは男たちに性犯罪は許さないこと、すぐに逮捕すること、逃がさないことを伝えることであり、女に自衛を強いることではない」「被害者ではなく加害者に言うべきだ」といった声が相次いだ。

また「混雑している車両を避ける」「友人と一緒にのる」といった対策は非現実的だとして、「出勤退勤時になんで痴漢を避けるために電車乗れないの?」「女も定時に仕事に行くんだが?毎日お友達と一緒に出勤可能な社会人なんて居るのか?」という指摘もあがった。

「被害者は一切悪くない」服装や乗車時間で責める⇨泣き寝入りや二次被害に

埼玉県警の呼びかけは、防犯アドバイスに見えるかもしれない。

だが、加害者に犯罪行為をやめるよう呼びかけることなく、被害者に「混雑している車両を避ける」「車両のドア付近に立たない」などの自衛を求めることで、そうしなかった人に落ち度があるというメッセージを生んでしまう恐れがある。

内閣府は、痴漢被害について「被害者は一切悪くない」「被害にあったときの服装や乗車時間など、被害者を責めるべき点は一切ない」と明記。

特に、相談を受ける立場にある人たちに対して「被害者の責任を問うような態度や言葉が、被害の申告や相談をためらわせ、泣き寝入りや二次被害につながることを十分認識する必要があります」と注意を促している。

被害の相談を受ける立場の埼玉県警が、自衛を呼びかけることは、被害者への自己責任論を助長しかねない。

この際、性暴力被害と服装の関係に詳しい上智大学総合グローバル学部の田中雅子教授は、ハフポスト日本版の取材に「性暴力の責任はどんな場合でも加害者にあり、被害者がどのような服装をしていたとしても、その責任が被害者に移ることはありません」と自衛の呼びかけを問題視している。

性被害を防ぐための行政やメディアの発信として「性暴力やDVは犯罪・人権侵害であり、決して許されない」「被害者は悪くない」といった点を明確にする必要があると提言。

痴漢を含めた性加害の対策のあり方について、こう述べていた。

「必要なのは、『女性が自衛する暴力防止』から、『避難所の運営者、支援者、避難者、行政などが暴力を許さない環境をつくりあげる体制』への転換だと考えます。男性一般を潜在的な加害者として排除するのではなく、男性も女性も安全な避難所をつくり、暴力を止める担い手になることが重要です」

埼玉県警担当部署、鉄道警察隊の情報を記載「対策そのものの内容については申し上げる立場にない」

埼玉県警察本部生活安全総務課はハフポスト日本版の取材に対し、今回の投稿の意図について、「住民の皆様に自主的な防犯行動をうながすことを目的として発信した」と説明した。

「混雑している車両を避ける」「友人と一緒に乗る」などの被害対策の内容は、「専門的な知見を有する」県警鉄道警察隊が公開している『痴漢関連犯罪の被害に遭わないために』にある「痴漢被害防止のポイント」を参考に記載したという。

投稿に対して「なぜ被害者側が混雑した電車を避けなければならないのか」「痴漢をする側ではなく、被害に遭う側に自衛を求めているのではないか」といった批判や、「被害者責任論に結びつくのでは」との懸念の声があがっている。

この点の見解を尋ねると「ご意見としては承っているところなのですが、投稿に記載している対策そのものの内容については申し上げる立場にない」と言及を避け、「被害者を一人でも出さないように、投稿を見ていただいた皆様に防犯行動を促すことが目的で情報発信していることに尽きる」と述べた。

記事全体を読む