チェルノブイリ立入禁止区域が「大型動物の楽園」になっていた

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人が消えた土地で、カメラが捉えた大型動物たち

チェルノブイリ立入禁止区域は、原発事故後に人間の居住や自由な立ち入りが制限されたエリアです。

現在のチェルノブイリ放射線・生態圏生物圏保護区は、約2600平方キロメートルに及ぶ広大な区域を含んでいます。

研究チームは今回、この保護区だけでなく、周辺のいくつかの自然保護区、さらに自然公園や正式には保護されていない地域も含めて調査することに。

調査方法は、動物が前を通ると自動で撮影するカメラトラップです。

人間が近づくと警戒して姿を消してしまう動物でも、無人のカメラなら、普段の行動を比較的自然な形で記録できます。

チームは、ウクライナ北部のおよそ6万平方キロメートルにわたる広い範囲で、カメラに写った動物を解析。

その結果、アカシカ、ノロジカ、ヘラジカ、モウコノウマ、イノシシ、ヤブノウサギ、アカギツネ、タヌキ、ヨーロッパアナグマ、テン類、ハイイロオオカミ、ユーラシアオオヤマネコ、ヒグマなど、13種の野生哺乳類が確認されました。

とくに目立ったのは、チェルノブイリ保護区での記録数の多さです。

調査全体で得られた3万1200件の撮影記録のうち、1万9832件がチェルノブイリ保護区で得られていました。

もちろん、これは1万9832頭の動物がいたという意味ではありません。

同じ個体が何度もカメラの前を通れば、複数回記録されるからです。

しかし、チームは単純な枚数だけで判断したわけではありません。

カメラトラップのデータをもとに、各地域で動物がどの程度その場所を利用しているか、生息確率や検出率を統計的に推定しました。

その結果、動物の多様性や生息状況は、チェルノブイリ立入禁止区域と、そこに隣接するドレヴリャンスキー自然保護区で特に高いことが分かったのです。

この2つの地域に共通していたのは、面積が広く、保護区域が互いにつながっていたことです。

孤立した小さな森ではなく、大きな生息地が連続して広がっているため、大型動物が移動し、餌を探し、長期的に暮らすための空間が確保されていたと考えられます。

つまり、チェルノブイリは単なる「無人地帯」ではありません。

人間が退いたことで、森、湿地、草地がつながり、野生動物にとって使いやすい広大な生活空間へと変わっていたのです。

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