『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(KADOKAWA/角川書店) - 著者: 坂口 恭平 - 陣野 俊史による書評

14 時間前 3
ゼロから始める都市型狩猟採集生活
『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(KADOKAWA/角川書店)著者:坂口 恭平

過激な提案に現代のムダ痛感

あらゆるものから解放されて、自由に暮らす。こんな言葉を聞けば、十中八九、眉唾(まゆつば)だと思うだろう。そもそもいまどきそんなことを言い出す人がいるなんて、想像さえできない。

だが著者の坂口恭平は堂々と、ゼロからスタートしよう、と書く。政治や経済、労働から自由になろう、と。

まずは着る物から。タダで手に入れる。衣類はゴミとして出される。靴も容易に入手可能。じゃ、食事は? もちろん無料。住むところは? 自分で作ればいいのだ。

ともかく、何もコストをかけずに、生活に必要なものを手に入れていく。その手段が克明に描かれている。途中、ハッとする言葉がずいぶんある。たとえば、家の広さを論じたところでは……。

「そもそも現代の家は大きすぎるんじゃないか。もう少し人体との関係を見直せば、本当に必要な空間の大きさを導き出すことができるんじゃないだろうか」

私たちがいかに過剰なムダやこだわりをまとって生きているか、思い知らされる。ゴミのことを「都会の幸」と呼んで、それを狩猟し採集して生き延びることを提案する。過激な意見はじつに合理的でもある。
【初出メディア】
日本経済新聞 2010年8月25日

http://www.nikkei.com/
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