スペイン・マドリード(CNN) スペインのサンチェス首相は5日、11月に前倒し総選挙を実施すると発表した。87歳の女性の立ち退きをきっかけに住宅危機への抗議活動が全国に広がる中、主導権を取り戻す狙いがあるとみられる。
総選挙は11月29日に実施される予定で、現在の議会任期は予定より6カ月以上早く終了することになる。
社会労働党を率いるサンチェス氏は、テレビ演説で「国家元首に報告した上で、今朝、臨時閣議を招集し、議会を解散して総選挙を実施することを決定した」と述べた。
今回の発表に先立ち、サンチェス政権は先週、国内の住宅危機への対処を目的とした2本の法案について、議会の支持を得られなかった。
これらの法案は、マドリードのレティーロ地区に住む87歳のマリア・デルカルメン・アバスカルさんの立ち退きに対する国民の怒りが高まる中で提案された。スペインでは「マリカルメン」の名で知られるアバスカルさんのケースは、同国の住宅危機を象徴するものとなっている。

自宅からの立ち退きを余儀なくされ、住宅危機への国民の怒りを象徴する存在となったマリカルメンさん/Fernando Sanchez/Europa Press/Getty Images
マリカルメンさんは70年以上にわたって同じ家に暮らしていたが、家賃が500ユーロ(約9万円)から2650ユーロ(約47万円)に引き上げられた後、立ち退きを余儀なくされた。これに怒った数千人が街頭に繰り出し、マリカルメンさんはスペインの住宅危機の容赦ない実態を象徴する存在となった。
マドリード中心部の広場では1週間以上にわたり、数百人が泊まり込みで抗議を続けており、スペイン各地でも集会が行われている。
アナリストらは、サンチェス氏が国民の支持獲得を目指し、住宅問題を選挙戦の中心に据えるとみている。住宅改革案に反対した保守派の国民党は、世論調査で首位に立っている。

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